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歩行時の上半身・胸郭

【腕振りと歩行】肩の痛みとの関係

【腕振りと歩行】肩の痛みとの関係

「もっと腕を振って歩いてください」

日々の治療のなかで、このようなことをクライアントさんに伝えることがあるのではないでしょうか?

今回はこの、腕振りについて考えていきたいと思います。

 

歩行の基礎についてはこちらをクリック↓↓

歩行各相と用語

 

まず、歩行の際は上位胸郭と下位胸郭で動きが変わると言われています。上位胸郭はTh7.8あたりから上位、その下からが下位胸郭となります。

骨盤の回旋の影響により、下位胸郭も同側に回旋が起こるとされています。

歩幅の拡大や、速度の増加に骨盤の回旋が貢献していて、この骨盤の回旋は上位胸郭の逆方向への回旋により代償されています。

ちなみに、腰椎は解剖学的に回旋方向の可動性は乏しいため、胸椎レベルでの回旋が生じると考えるのが一般的だと思います。

 

歩行時に右足を前に出すと上位胸郭は右回旋が起こることになります。これは、胸郭が右回旋をしている図です。

 

 

 

ちなみに今回は上位胸郭の回旋の動きが出ていることを前提にお話していきます。もし胸郭の回旋が出にくいのであればそちらをアプローチしていかなければいけません。

胸郭の回旋が出ないとなると、また別の問題が出てくることでしょう。

 

それでは今回は肩甲骨の動きをみていきましょう。

正常な歩行では右の肩甲骨は内転、左の肩甲骨は外転します。

このときに、肩甲骨の可動域が制限されていたら、どうなるでしょうか。

肩甲骨の動きがなければ腕を振る際に動くのは、「肩甲上腕関節」いわゆる肩関節になります。

図でいうと上位胸郭の右回旋が起きたときは肩甲骨は内転しなければいけないのですが、内転の可動域がないため肩甲骨と上腕骨との関節面は前を向いたままになります。

その状態で、腕を伸展させなければいけないので、肩甲上腕関節は伸展。でもどうでしょうか、伸展しにくそうではないでしょうか?

 

関節窩が前を向くことで肩甲骨に対して相対的に上腕骨は外旋を強いられます。

それにより、上腕骨頭は前方へ押し出され肩甲上腕関節の前方の組織は伸張ストレスがかかることになります。

そして、後方の組織は前方の組織とは反対側にあるので、短縮して固まってしまいそうではないでしょうか。

 

前方の組織 

肩甲下筋、大胸筋、小胸筋、三角筋前部、前方関節包など

後方の組織  

棘下筋、小円筋、大円筋、広背筋、三角筋後部、後方関節包など

 

そうなってしまえば、もう悪循環のループにはまってしまうことになります。

歩行しているだけで常に肩甲上腕関節にストレスが掛かっている。前方の組織は無理に引き伸ばされ、後方の組織は伸張されずに固まってしまいます。

考えただけでも不具合が起きそうですね。

 

もし肩甲骨の可動域が保たれていれば、肩甲骨は内転することで関節窩は前方から後方へ移動し、からだに対して平行の位置までくることができ、自然な動きができます。

自然な動きと言うのは、単純に肩甲上腕関節の屈曲・伸展の動きの際に起こる矢上面において内側ー外側軸の周りで生じる上腕骨の回転運動(スピン)が起こるということです。

じゃあ、肩甲骨の内転が出ない姿勢って・・?

このコラムを読んでくださっている方はもうお分かりだと思いますが、肩甲骨の内転が出ない姿勢の1つの原因は、そうです。「Swayback姿勢」です。

 

是非こちらも一緒にご覧ください↓↓

sway-back姿勢へのアプローチの仕方についてはこちらをクリック!!

 

Swayback姿勢は、胸椎が後弯し肩甲骨が外転位でした。

内転したくても姿勢(胸郭)のせいで、できないのです。

では、その方に「もっと手を振ってください」と言ってしまったら・・・。

肩甲骨上腕関節のストレスはさらに大きくなってしまいます。

私たちがクライアントさんに、よかれと思って伝えたことが、もしかしたら痛みを出してしまっていることもあるかもしれません。

 

腕を振る指導をする前に、立位姿勢のアライメントを改善する必要があると思います。

いくら肩甲骨の内転を出そうと手技をしたり、トレーニングをしても根本の姿勢が変わらなければ変化は出にくいですよね。

 

それでは今回、肩甲骨の内転可動域をみる簡単な方法をお伝えします。

図のようにからだの後ろで手を組んでもらいます。

そこから肩を伸展方向に挙上します。

肩甲骨の伸展がしっかり入っていれば、ある程度スムーズに挙上できると思います。

可動域がない方は、挙上できない、もしくは肩甲骨の内転を代償してからだを前屈させて頑張って挙げようとします。

これであれば簡単に肩甲骨の可動域をチェックすることができるのではないでしょうか。

まずは、ぜひご自分で試してみてください。

 

今回は腕振りと歩行についてお話ししました。

 

歩行で手が振れないのは、くせなどではなく、その理由があります。それは、肩をだけの原因ではないかもしれません。

 

それを見極める力が必要になってくるのではないでしょうか。

 

 

【柔道整複師】  増田鮎美(ますだ あゆみ)

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