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歩行時の膝関節

「足関節背屈制限から考えるKnee-in現象と膝傷害についての解釈」

「足関節背屈制限から考えるKnee-in現象と膝傷害についての解釈」

 

スポーツ現場や治療現場における膝傷害に対して臨床推論を立てる上で、よく問題視される動作にKnee-in現象があるかと思います。あらゆるスポーツ動作、日常生活動作において観察されます。

Knee-in toe-outの運動連鎖についてはこちら

 

Knee-in現象についてですが、これは前額面上(原因は水平面・矢状面にも潜んでいる)での現象であり、アライメントは膝外旋位(相対的に大腿に対して下腿が外旋位)の状態とし、本コラム内で統一します。

 

 

そんな傷害発生のリスクを高める可能性のあるKnee-in現象ですが、どのような問題が身体に潜んでいることで起こるのでしょうか。

まずKnee-in現象時の膝関節におけるストレスを解釈し、足関節の背屈制限に焦点を当て、とくに切り返し後やダッシュ時の1歩目に観察されるKnee-in現象について考えていきます。

 

 

写真1はダッシュの1歩目のKnee-in現象です。

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真1)

 

関節にかかるストレスについては関節モーメントを理解しておくことが必要です。

 

床反力は、身体重心へ向かいます。そのため、写真2では床反力作用線がST(距骨下)関節軸の外方を通過することになります。また、膝関節の外方、股関節の内方を通過します。

(写真2)

 

そのため各関節には、

・股関節

外部股関節内転モーメント

・膝関節

外部膝関節外反モーメント

・ST関節

外部ST関節回内モーメント

が加わることになります。

 

つまり、膝関節に対しては、

内部膝関節内反モーメントが必要になります。

内部膝関節内反モーメントは内側を走行する筋群をはじめ、靱帯や関節包などにより生じ、過剰に外部膝関節外反ストレスが加われば、これらの組織で傷害が起こりうるということです。

また、膝関節外側には圧縮ストレスが加わるので外側の半月板などもストレスを被ることになります。

 

では、Knee-in現象におけるストレスを踏まえて、足関節の背屈制限に焦点を当てさらに考えていきます。

 

はじめに足部・足関節の動きに関与する関節については、

 

・距腿関節

ST(距骨下)関節

MT(距舟・踵立方)関節

・リスフラン(足根中足)関節

 

などがあると思います。

 

では、これらの関節が背屈時、上行性に下肢(とくに膝関節)にどのような影響を与えるのか荷重時を想定し、

足関節背屈テストで考えてみます。

 

足関節背屈テストでは、患者を仰臥位とし足関節を背屈方向に足底から圧を加え動かしていきます。荷重時をイメージしこの際の膝の動きに注目します。

膝蓋骨底~大腿の遠位部が内側に回旋していくかを確認してください(写真3)。

大腿遠位部の内旋の確認です。

(写真3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背屈テストの解釈にはあらゆる可能性がありますが、足関節背屈時に問題が生じると、写真のような大腿が内旋し相対的に下腿が外旋する、まさにKnee-in現象に近い状況になることがあります。

ではこの背屈テスト(荷重)陽性時には足部・足関節ではどのような問題(背屈制限)が起こっているのでしょう。

今回は2パターン紹介します。

 

その前に、歩行時(CKC)の伸展相における足関節の背屈運動についてですが、

 

踵接地

ST関節回内→距骨内旋・底屈

MT関節外転・回外(距骨に対して

→リスフラン関節背屈

(下腿内旋も起こっている)

足趾離地

 

となります。

 

これを踏まえると、

可能性➀

MT関節回内制限前足部内反(本コラム内ではMT関節より遠位とする)

 

前足部が内反していると、最後母趾で蹴る際に母趾が地面に着かないことになります(写真4)。

 

 

 

 

 

 

 

(写真4:前足部内反)  【D-1セミナー資料より】

 

 

 

 

 

 

 

(写真5:ST関節回内代償)【D-1セミナー資料より】

 

母趾を地面に付けるにはMT関節の回内可動域が必要ですが、そこに制限があれば、ST関節の回内で代償します(写真5)。

ST関節の過回内が起こることで急激にCOP(足圧中心)が内側変移しそれにつられて大腿遠位が内旋方向に動くパターンです。

 

可能性②

後足部外反(本コラム内ではMT関節より近位とする)+MT関節内転制限

OKCの状態で偏平足なパターン)

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真6:距骨内旋+MT関節外転)【D-1セミナー資料より】

 

 

 

 

 

 

(写真7:距骨内旋、底屈で内側アーチ低下)【D-1セミナー資料より】

 

水平面(写真6)と矢状面(写真7)から見たものです。

そもそも、内側の縦アーチが保持出来ずCOPが内側に停滞。蹴り出す際には下腿、大腿ともに内側に入ってしまうパターンです。

 

これらの制限があることで、膝にはストレスが生じ、ダッシュ1歩目の蹴り出し時の痛みに繋がっていくというわけです。

しかし、今回提示した背屈テストでは、足部の状態を精査することはできません

荷重時に大腿遠位が内旋する現象を捉え、そこから足部・足関節の評価に移行する必要があります。

 

同じように足部内側にCOPが変移する2パターンでしたが、蹴り出す前から内側にあったのか、蹴り出す寸前に変移したのかなどタイミングについても検討する必要があるでしょう。

 

今回は足部・足関節に焦点を当てKnee-in現象と膝関節の傷害について検討してきましたが、臨床では、上半身、股関節・大腿、下腿の問題についても検討していく必要があります。

 

治療では全体から局所へ、局所から全体へ目を向けながら、何が問題になっているかを見つけ出していくことが必要ですね。

最後までご高覧頂きありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

スポーツラボ鍼整骨院滝ノ水

鍼灸師・アスレティックトレーナー

藤田 悦史

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