【筋膜リリースが姿勢に及ぼす影響について】
【筋膜リリースが姿勢に及ぼす影響について】
今現在、よく筋膜リリースというアプローチ方法を耳にしますが、本当に筋膜リリースは理に適っているのか。
それを含め
筋膜の特徴とその異常によって起こる姿勢への影響についてお話していきます。
まずは、構造から
〇筋と筋膜の構造
筋肉は筋束、筋線維(筋細胞)、筋原線維、筋フィラメントに階層されます。
筋細胞である筋線維以上の階層には各々の筋膜が筋外膜、筋周膜、筋内膜と対応して覆っています。
その各々の筋膜は、互いに連続性に有しており、頭の先端からつま先まで連続させる媒体となっています。
プロメテウスから引用
〇筋膜の機能と特性
筋線維で発生した力をまとめ、そして伝える役割を担っています。
「筋膜が筋の長さを決定する」とも言われています。
そのため、強度とある程度の弾力性が要求されます。
・強さを保障するのがコラーゲン線維である
これらのコラーゲン繊維や筋線維が円滑に滑りあえるように働くのがヒアルロン酸である。
ではなぜ筋膜にアプローチするのか
筋膜の伸張性の低下や短縮は、コラーゲンの過剰な結合による結合組織の肥厚や高密度化であるとされています。
筋膜リリースは、手からの機械的刺激や温熱刺激が受容器を介して上行する過程で神経末端より神経ペプチドが分泌される。
それが神経性炎症をおこし、筋膜に存在する多くの毛細血管の透過性を変化と拡張が生じ、
皮膚の発赤が生じると同時に細胞間物質の密度に変化がおき、コラーゲンの過剰結合を変
化させます。
これにより、筋膜の伸張性を改善され運動感覚入力系が変化し、身体アライメントが改善し
重力下での姿勢制御および随意運動が改善される。
*筋膜リリースは、炎症反応を利用しているため急性期の炎症症状や癌を持つ患者には適していない。
筋膜へのアプローチと考え方とは
骨格筋には、それぞれの屈筋群や伸筋群など役割を持っており、それを隔てているのが筋間中隔です。
その筋間中隔の癒着や伸張性の低下により身体アライメントの崩してしまう原因になっているかもしれません。
以下の画像は、大腿部の断面図になります。
プロメテウスから引用
実際に…
歩行を評価してみましょう
内側裂隙の疼痛のある膝OA患者の歩行です。
K1セミナー資料から引用
こちらの歩行では、踵接地(IC)~立脚中期(MSt)で
立脚側―外部股関節内転モーメント
立脚側―内部股関節外転モーメント
が大きくなっていることにがわかる
大腿―内旋位
下腿―外旋位
つまり、
骨盤は外方にsway
股関節は内転位
前額面上の動きが大きくなってしまう。
結果的に大腿内旋と下腿外旋を伴う大きなねじれが、
膝内側裂隙部の疼痛(靱帯・筋・半月板を含む)が誘発されるのではないか
と推測できるのではないでしょうか
では、細かい身体の動作テストを行っていきましょう。
色々とテストはありますが、今回ご紹介するテストは
「ランジテスト」です
ランジテストは、片足で一歩踏み込した側の膝・足部の
軸・可動性を確認する評価方法です
写真① 写真②
写真①と写真②を比較してみましょう。
写真①では大腿がニュートラル
写真②では、大腿の内旋・内転位
に見えませんか?
これらのテストから
内転筋群が短縮している可能性を予測ができる
これが分かれば、あとは短縮している内転筋群の筋間中隔をリリースしていきます。
つまり、内側大腿筋間中隔をリリースする。
短縮した筋膜をリリースできましたら、次はトレーニングです。
筋膜リリースで終わってしまうと筋はすぐに戻ってしまう可能性があります。
これが筋膜の特性のところでお話した「強度とある程度の弾力性」を強化する必要性があるのです。
なので整った筋をトレーニングで身体に認識させていきます。
今回、筋膜の構造・特性・アプローチ方法をご説明させていいただきました。
すでに知識としてご存知の先生やこれから筋膜リリースを取り入れる先生に
今一度、筋膜の特徴を理解して普段の治療に活かしていただけたら幸いです。
柔道整復師 金子 颯太