【歩行評価のポイント 〜下腿外方傾斜のみかた〜】
【歩行評価のポイント 〜下腿外方傾斜のみかた〜】
今回は,歩行評価のポイントについてお話しさせていただきます。
歩行評価の中でも
『下腿外方傾斜』
に注目してお話をさせていただきます。
歩行評価についてはこちらの記事もどうぞ。
歩行評価でその患者さんの症例によってみるポイントや部位、タイミングは違うはずです。
では、『下腿外方傾斜』は、みなさんはどのように評価としてみていますか。
この動作分析のコラムやセミナーでも何度か、下腿外方傾斜について触れさせていただいております。
まずは、『外方傾斜』についておさらいしていきましょう。
外方傾斜とは、簡単にいうと歩行中の下腿の外方への傾きです。
そうです。読んで字のごとくそのままの意味です。
要するに歩行中に荷重をしていく中でどのタイミングでどのくらい下腿が外方に傾斜していくのかを歩行で評価してみていきます。
診るポイントは、足部に対しての下腿の角度です。
脛骨や腓骨を追ってみるよりは、下腿の外側で判断するのがみやすいかと思います。
では、実際の歩行で診ていきましょう。
セミナーなどでもよくお話しするのは、
イニシャルコンタクト時の下腿の外方傾斜です。
イニシャルコンタクト時に、より外方傾斜が強い側が骨盤の前方回旋側の傾向が多いかと思います。
もちろん絶対ではありませんが、骨盤前方回旋により、前足部内反の状態で地面に接地をし、
前足部内反→ST回内→下腿外旋→大腿骨内旋
となるパターンは多く見られます。
足部についてはこちらをどうぞ。
このようなアライメントの方の場合、イニシャルコンタクト時の下腿外方傾斜が見られることが多いです。
現場や普段の臨床では、
立位アライメントの評価
↓
回旋テストやSwayテストなどの動的評価
↓
歩行評価
このような流れで一連の評価と歩行評価をみて実際にどうなのかを結びつけていくのがスムースな流れかと思います。
例えば、Sway-Back姿勢で前方回旋側に問題があるから、膝が痛くなっているんだなと症状と評価を結びつけていきます。
Sway-Back姿勢についてはこちらをどうぞ。
例:
立位アライメント評価
骨盤 右前方回旋
下位胸郭 右前方回旋
上位胸郭 左前方回旋
骨盤回旋テスト 右前方回旋
Swayテスト 右Sway
歩行評価
骨盤 右前方回旋
このような方の場合、歩行中のイニシャルコンタクト時に下腿の角度を見ると右側の外方傾斜が強い場合が多いです。
歩行周期についてはこちらをどうぞ。
ですが、もちろん左側も外方傾斜が強いな。
そんな場合は大いにあります。
それもイニシャルコンタクト時よりも、ローディングレスポンスからターミナルスタンスにかけて下腿がより外方へ倒れていくな。
このような方もいます。
そのため、立位アライメントと歩行評価を合わせて結びつけられたのか。
立位アライメントの評価についてはこちらをどうぞ。
それとも、あれ?ちょっと待てよ。
外方傾斜は、左のターミナルスタンスの時の方が強くなっているんじゃないか?
よし、もう一度評価を確認してみよう。
もう少しみるポイント変えてみよう。
という風に、本当に何が原因なのか。
そもそも下腿の外方傾斜は、なぜ起こっていてどのように膝の痛みに影響を与えているのだろう。
あのタイミングで起こっているということは…
などなど、歩行評価はもちろん全体をみることは大切ですが、ポイントを絞ってみていって、じゃあその時全体像と比べてどうか。
ただ歩行をみる。
アライメントを評価する。
左右で比べるのではなく、一つ一つの評価をその人の症状や悩みとしっかりと結びつけられるかが大事なのではないでしょうか。
中川 直紀(なかがわなおき)【鍼灸師】
アーチ鍼灸整骨院/Athlete Village 浜松
普段は治療院とパーソナルトレーニング施設で勤務。
高校サッカーチームのトレーナー活動やバレーボールトレーニング、走りのトレーニングなどのイベントでトレーニング指導も行っている。