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歩行時の足部

歩行周期のIC(イニシャルコンタクト)と靴

【靴からイニシャルコンタクトを考える】 

 

 

先日、このサイト内で紹介された記事「ICを紐解く」がとても多くの方にご覧いただいたようです。

記事はこちら→ 歩行周期のIC(イニシャルコンタクト)を紐解く

 

そこで、この内容を少し靴の側面からも見ていきたいと思います。

 

この記事は「踵が着く瞬間に何を見ているのか?」というお話で、

 

一つは「骨盤の回旋量」、もう一つは「上半身の質量中心」という内容でした。

 

そして今回は、この「骨盤の回旋量」について着目してみたいと思います。

 

記事内では、ICの際どちらの骨盤が前方に回旋(水平面上)しているのかを診るということでした。

 

骨盤が前方に回旋する量が大きいほど股関節が伸展位になりやすくなります。

 

伸展位になりやすいということは、本来の大殿筋の働きがでにくくなるという内容でした。

 

それでは、ここで骨盤の回旋量を靴の観点から考えてみたいと思います。

 

左右の一方がICを迎える際、反対側はMStからTStに向かっていきます。

 

 

簡単にいえば地面を蹴り出す動作になっています。

 

 

この時にMStからTStに向かいスムーズな足の動き(体重が前方に運ばれる動き)がないと蹴り出す足は後方に行きづらくなります。

 

 

後方に足が出ていく時には股関節の伸展動作を伴い、それと同時に骨盤は後方に回旋していきます。

 

この時に靴が足部のスムーズな動きを邪魔してしまうと結果的に骨盤の回旋量に影響してきます。つまり骨盤が後方に回旋しづらくなります。

 

 

靴による要因は様々です。

 

シャンクの柔らかい靴(シャンクについてはこちらの記事→治療の邪魔をする靴3(ヒールカウンター・シャンクと足部障害)を履いているため、前額面上の動き(例えば足部の過度な回内動作)が前方への移動を阻害することもありますし、

 

純粋に大きい靴を履いていて足が靴の中で遊んでしまい「足の動きに靴が付いてこない」ということなど色々とあります。

 

実はこの「足の動きに靴が付いてこない」というものには、足首周りの周径「ヒールガース」と呼ばれるものが小さいという原因があります。

 

「ヒールガース」とは、足関節の前方と踵の後方を通るラインの周径です。

 

 

このヒールガースが小さいと靴の履き口で足が遊んでしまいます。

 

 

これが、足のスムーズな動きを邪魔する原因の一つになります。

 

足に対し履き口が大きいと、足関節の前がしっかりホールドされない状態になります。

 

歩行中の靴は足関節の前のホールドがとても大切です。

 

特に、MStからTStにかけ踵が上がっていく時に、踵の上がりと同時に靴も持ち上がってこないといけないからです。

 

足関節の前がホールドされていないと、踵が上がるタイミングと靴が上がるタイミングがずれてしまいます。

 

踵が上がった後、靴が追いかけてくるような状態です。

(毎回踵と靴がこすれるので、因みにこれは靴ズレの原因にもなります)

 

靴の多くは、つま先に向かって反り上がっていく「トゥースプリング」と呼ばれるものがあります。

 

このトゥースプリングの機能で前方に体重移動がしやすくなります。

トゥースプリングを詳しく書いた記事はこちら→ 治療の邪魔をする靴4(足部障害とランニングシューズの捉え方「トゥースプリング」)

 

しかし、踵の上りと同時に靴も上がってこなければ、この機能を十分に活かすことができません。

 

そうなると蹴り出し動作が小さくなる → 股関節の伸展相が短くなる →骨盤の回旋量が減る → 結果的に反対側の骨盤の前方回旋が小さくなる

 

ということが考えられえます。

 

靴の影響で「蹴り出しやすい側」と「蹴り出しにくい側」があると、骨盤の回旋量に差が生まれてしまうため「ICを紐解く」の記事にかかれたような骨盤の回旋量の差の原因の一つになると考えられます。

 

特に、子供や女性の方で足首周りが細い方などがスポーツやウォーキングをするときは、足関節の前がしっかりホールドした状態のほうが良いと思います。

 

ここで一つ、足関節の前をホールドする簡単な方法をご紹介します。

 

 

それは、、、

 

 

ランニングシューズやウォーキングシューズにあるこの一番手前の穴。

先生もご覧になったことがあるのではないでしょうか!?

 

この穴は、まさに足首周りが細い(ヒールガースが小さい)方のための穴です。

 

この穴に紐を通し結ぶだけで履き口が小さくなり、かなり足関節の前がホールドされやすくなります。

 

先生も一度、紐を手前の穴に通して歩いてみてください。かなり足が後ろに蹴り出されやすくなる感覚が分かると思います。

 

 

足部障害など、足底の接地時間を短くして早く前に体重を抜けやすくしたい患者さんに、一度試してみるのもいいかもしれません。

 

反対に前足部に体重を早く乗せたくない方にはお勧めできませんのでご注意を。。。

 

 

日本でもめずらしい、靴を作れる鍼灸師。

松本実生(まつもとじつお)【鍼灸師】
株式会社アーチ代表取締役
足と靴のGAIT代表

現在は、足の痛みに特化した靴・インソールの専門店「GAIT」の代表も務める。
患者さんの痛みはどこから来ているのか?と疑問を抱いたときに、インソールと 出会い、その土台である靴の原因にも目を向け、靴のフィッテングはも ちろ ん、自身でオーダーメイドの靴も製作するようになる。
患者の足部形態、歩行動作を分析し、その方に合った靴をピンポイントで選択す る能力は業界でも随一。今まで行ってきたセラピストとしての知識とト レー ナーとしての豊富な経験を基に、一般の方からアスリートの競技用シューズまで 幅広く対応しその方に合った靴、インソールの提供、製作をしてい る。

 

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