歩行周期のIC(イニシャルコンタクト)を紐解く
【ランチョロスアミーゴ方式:IC(イニシャルコンタクト)】
IC(イニシャルコンタクト)
脚が地面に接触する瞬間で、歩行周期の終わりと始まり
このサイトでは、IC時に何を診ることが大切で、どんなアプローチをすると良いのかを書いていこうと思います。
・踵が付く瞬間に何を見ているのか?
■骨盤の回旋量を診ている■
ICは説明でもあるように、「脚が地面に接触する瞬間で、歩行周期の終わりと始まり」です。
踵が付くのが正常な歩行ですから、まず踵がついているかは当たり前のように見ることが必要となります。
そして、ICの際に見ていることは、どちらのICのほうが骨盤が前方に回旋しているかも見ます。
これは、骨盤を後ろから診ればお尻が前に行っているほうがどちらかを診ます。前から骨盤を診るときは、ASIS(上前腸骨棘)がどちらが前に出てくるかを診ています。
*基礎的な歩行の診方はこちらをどうぞ→はじめての歩行分析
これにより、骨盤の回旋量の差がわかることになります。
そして、この差が何になるかというと大きく出ているほうが、接地の際に股関節が伸展位になりやすい予測がつけられることになります。
理由は、骨盤が前方に出ていく量が多い場合、踵が付いた際に床からの反力は身体重心に向かうので、股関節の後方を通ることになります。そうなると、股関節はどんどん伸展位になるわけです。
〈床反力が股関節の後方を通る図〉
※これでは骨盤に対し大腿骨が伸展方向へ向かうので股関節屈筋がそれを止めようと働く。
大殿筋は働かなくてよくなってしまう。
股関節が伸展位という事は、IC時は教科書でいうと大殿筋が働くとなっていますが、それが起きなくなります。
この場合働くのは、股関節伸展位をなんとか戻そうと股関節の屈筋達ががんばります。
なので、IC時に骨盤の前方回旋量をみることは、大殿筋が効いていない方を見極めているという事になります。
大殿筋が働くという事は、IC時に床反力が股関節の前方を通れば働くという事です。
〈床反力が股関節の前方を通る図〉
※この場合、骨盤に対し大腿骨が屈曲方向へ向かうので、股関節伸展筋の大殿筋がそれをさせないように働く
本来は、そうなっているのが普通ですよと、教科書に書いてあるという事です。
臨床では、この「本来普通」ができていないので痛みが出ます。
股関節伸展という事は、大腿骨に対して骨盤は後傾していると言い換えることができるので、本来の骨盤前傾、腰椎生理的前弯の関係は崩れ、腰痛になりやすいと予測がつけることができます。
なので、IC時の骨盤の回旋量の差を診ることは腰痛の出やすい側を予測するのに使えるという事が言えます。
■上半身重心がどこにあるかを診ている■
上半身質量中心(U-COG)は後方から診るとTh7、肩甲骨下角のラインの中央、正面から見れば胸骨剣状突起の奥にだいたい位置すると言われています。
それが右足のIC時にはどこにあって、左足のIC時にはどこにあるかを診ます。
下の写真を見比べてみましょう。
どうでしょうか?左のIC時に上半身が左に傾いているのがわかるでしょうか?
右はというと、両足の真ん中に上半身があるように見えると思います。
これを診ると何がいいかというと、
上半身質量はあくまでも重りと考えることができます。
この重りが左にあるという事は、左に加速しながら踵をつくという事になります。
この衝撃は例えば、腰痛、膝の痛みなどを出しやすくする場合があります。
*膝痛などの痛みが出る理由はこちらをご覧ください→歩行時の骨盤
なので、写真の方の場合、右より左のほうが衝撃が強くなり痛みがそちら側にでやすいという事が予測できるという事です。
そして、ICのこの時期にこれだけ上半身が傾いているという事は、実はこの前の段階で傾かせている原因があると考えることができます。
例えば右足のMStからTStですでに左に傾いていることが予想できるという事です。
なので、ICでの上半身質量中心をみて、その手前の「片足立ち」と同じのMStの上半身質量中心もみて、すでに左に傾いていれば、この片足立ちの際の立ち方を治していけば、左足への衝撃を減らすことができ、腰や膝の負担を減らすことができると考えることができるという事です。
ICでは ・骨盤の回旋量の差を診ること ・上半身質量中心を診ること が大切で、なぜ診なければいけないかは、それを診れば腰痛や膝痛の痛いほうの予測がつけられるからという事になります。そして実際にそちら側に痛みがあれば、それを変えてしまえば痛みを変えることができるという事です。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛