骨盤の回旋だけがすべての痛みではない
【1年前からの腰痛】
今日は具体的な症例のお話ですので、
いつもとタッチが違うので、症例に興味のある方だけぜひお読みください。
1年前から腰に痛みのある高校生。
とある紹介で僕の元に来ていただきました。
現在高校2年生。
競技はバレーボール。
話を聞いていくと、どうも中学のころから腰痛はあった。
でも高校に入り、練習量が増え、約1年前に「ぎっくり腰」になったとのこと。
そこから、本当にたくさんの良いといわれるところを転々といかれたようです。
来た時のアライメントは、骨盤右前方回旋、だが右アウトフレア。左インフレア。セミナーでやっているように、
これで側弯を疑ったが、ひどい側弯ではない。
そして、回旋テストにてまったく骨盤の回旋をしようとしない。
この時点でおかしい。
側屈をした際に、腰椎でしか動かない。
全身の関節弛緩性を調べる。
++。
と、こんな感じでここから様々なことを調べていったのですが、
この時に一番思ったことは、
「今日ここで信頼してもらうしかない」
ということ。
1年間いろいろなところに行って、自分たちで「ここだ!」と探してきていただいた場合は
すでに向こうがすがる気持ちで来てくれているため、患者さん側は信頼しやすい環境にあるのかもしれません。
ですが、今回は自分たちからではなく、あくまでもすすめていただいてのパターン。
アライメント、動きのクセ、もちろん最低限当たり前の大切なこと。
僕たちがこれを見れていないのは、問題外なのだろうけど、
時にはもっと大切なこともある。
それが、今回相手との距離感、信頼感。
いつも思うことは、相手のことを知れる範囲で知り、痛みだけではなく、そこまでにいたった背景を知り、
そしてどうなることが本当にうれしいことなのかを知る。
言葉では簡単だけど、1秒ごとに流れる時間の中で変化する空気を感じながら、その時に最適な言葉、しぐさ、態度を選ぶ、この勝負が一番大切だと考えています。
腕のいい先生たちはたくさんいて、きっとその方たちも実はこの力を持っていて、それの出し方が一流なのかなと。
学んだ知識はある、どんな分野も学んできた幅もある。
でも、流れる時間とともに変化するその場の空気を、もし感じれないとすると、大きく間違うこともきっとある。
今回僕が勝負したこの選手。
実際には、腰椎を過剰に動かす癖がついていました。
すべてを痛いはずの腰椎で動かす。
そうなると、胸椎の可動域は低下。
弛緩性の強い選手の可動域制限は、他の部位の動きが普通の硬さの選手よりもより出てしまう可能性がある。
分離症などの診断は幸いない。
診断名は腰痛症。
僕たちの得意な、動きづくりによってADLでの痛みはすぐになくなり、学校生活の中でもっとも苦痛だった授業中の痛みはなくなった。
指導したことはもちろんあるけれど、その指導を聞いてくれて、信頼してくれたことがこれにつながった。
セミナーなどでは伝えにくい、「感覚」の部分。
もしかしたら答えはないのかもしれないが、いつも行きつくところは同じところには行きつく。
結局、自分本位ではなくて、「人のために何ができるか」を考えているか。
チームスポーツの中でも、最後はそこなのかなと思う時がある。
自分だけが活躍すればいいと思ったときに、何かが崩れる気がする。
走ること、拾うこと、得点を取ること。
誰かのためになりたいからが先にあるのか、自分のためなのか。
医療の原点はどこにあるかはわかりません。
わからないけど、「その考えは患者さんのためであるのか」を忘れる日が来ちゃダメなのだけはわかります。
そして、どんなもの、事よりもこの感覚は大切にしなきゃいけないことも。
次に会う時が4回目。
高校バレー残り約1年。
泥水すすってでも、誰かの手を借りてでもこの選手を何とかしようと思います。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛