腸腰筋を鍛えると歩行はどう変わるのか?
【腸腰筋を鍛えると歩行はどう変わるのか?】
腸腰筋を鍛えることで、床に足が引っ掛かりにくくなり、
転倒を防ぐことが可能になる。
こんな、期待を込めて多くの施設で、椅子に腰かけ、
股関節の屈曲をしているのだと思います。
たしかに90度以上の屈曲で腸腰筋が使われるのは言われている事でもあります。
その後、その方はスタスタと歩いて帰られるのでしょうか?
来た時よりも、帰る時のほうが、「歩行」はスムーズかという話です。
腸腰筋はいつからか、転倒予防の代名詞になってきました。
過去にこの記事でも別の角度から語っておりますので、
読まれていない方は、先にこちらにぜひ↓
つま先が、床から離れないので、股関節屈曲をすることで
つま先を床から離そうという考えの下、始まったのではないかと思います。
ですが、これがすべて腸腰筋の筋力の低下によるものかは、定かではありません。
歩行を考えてみたいと思います。
このサイトの記事の中でも歩行をお伝えしてきましたが、
その中に、ターミナルスタンスという相があります。
ターミナルスタンスはこちら↓
このターミナルスタンスですが、片足立ちのようになった状態から、
股関節が伸展していく相でもあります。
この際に、股関節前面筋である腸腰筋などは、伸張位となるわけです。
この伸張位の状態から、それ以上股関節が伸展しないように、耐えてくれるのが
この腸腰筋なわけです。
そして、足が地面から離れ、その耐えていた筋肉が、非荷重状態(OKC)で股関節屈曲筋となり、
はじめて、股関節屈筋群として働きます。
筋電図の波形でも、一度目の腸腰筋の活動は、この股関節伸展位の際に高くなり、
そこから一度低下し、さらに前方に下肢が振り出される際に再度波形は高くなります。
そして、その両方とも自分自身での求心性の筋収縮ではありません。
となると、椅子に座っての股関節の屈曲トレーニングは???
と、考える必要が出てくるわけです。
重力の下生活している獏たちは、遠心性収縮時により筋肉は頑張ろうとしてくれます。
それを考えると、転倒予防は、もしかしたら違う考えをそろそろ入れる時が来ているのかもしれません。
まず、いかに股関節伸展時に耐えることができる股関節屈筋群を鍛えるか。
そして、そうやって、股関節伸展がうまくいくには、一体何が大切か?
身体重心にかえってくる床反力は、上半身が丸まっている場合、正常人と比べて、
足関節、膝関節、股関節を床反力が通る場所が変化してきます。
まっすぐな姿勢の獲得は、そう考えると必要だし、
もしまっすぐな姿勢が難しい場合、
いかに各関節を床反力が通ると良いのかを考える必要があるかもしれません。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛