歩行周期のMSt(ミッドスタンス)を紐解く②
【ランチョロスアミーゴ方式:MSt(ミッドスタンス)】
MSt(ミッドスタンス)
始まり・・・反対側の足が地面から離れた瞬間
終わり・・・対象側の踵が床から離れた瞬間(身体重心が前足部の直上にある)
*サイト内では、MStを前半と後半に分けて説明することもあります。
このサイトでは、IC~LRに続いてMSt時に何を診ることが大切で、どんなアプローチをすると良いのかを書いていこうと思います。
IC~LRまでの特徴は
■骨盤の回旋量を診ている■(ICも同様)
■上半身重心がどこにあるかを診ている(ICも同様)■
■矢状面での膝関節屈曲量を診ている■
これでした。
IC(イニシャルコンタクト)からLR(ローディングレスポンス)までの復習はこちらをご覧ください↓
※IC(イニシャルコンタクト)についてはこちら→ IC(イニシャルコンタクト)を紐解く
※LR(ローディングレスポンス)についてはこちら→ LR(ローディングレスポンス)を紐解く
前回のMSt①はこちらです → MSt(ミッドスタンス)を紐解く①
「MStの特徴」
◇片脚立位になる◇
◇立脚側を遊脚側が追い越していく◇
前回もポイントで書いたこの2つ。
今日は、
◇立脚側を遊脚側が追い越していく◇
についてお話しさせていただきます。
IC~LRにはなかった、この立脚側を遊脚側が追い越していくということ。
この瞬間いったいどんなことが起きていて、何が必要なのか。
立脚足が左と仮定して話します。
この左足で起きていることがまず何なのかを理解するといいと思います。
MSt前半、左足では大腿骨に対して骨盤がやや前傾(股関節屈曲)し、股関節は外旋位をとります。
ここから、右の下肢とともに、骨盤は前方へ回旋していきます。
これが、左股関節にとっては「内旋」してくることになります。
そして、そこからさらに右の下肢と骨盤は前方へ振り出されます。
この時、左の股関節はより内旋が強いられていきますが、左骨盤も後方回旋していくので、
その方によって、内旋や外旋量が変わると考えていた方が正しいかと思います。
今話したのが、正常な場合の遊脚側が立脚側をを追い越していったときにおこる関節の動きです。
やはりこの場合のポイントは左の股関節の動きではないでしょうか。
大腿骨頭上で骨盤が正しい回旋をするかしないかが臨床でも痛みやパフォーマンスに大きくかかわってきます。
この時に大切なのは、股関節のポジション。
前回①でも話しましたが、骨盤がSwayすると、この股関節上の正しい回旋が行われません。
だから、遊脚側の右足は上手く前方へ運ばれなくなります。
右の骨盤が前方へ行くことが不可能になります。
そうなると、右の股関節の屈曲可動域だけで前方へもっていくしかありません。
歩幅は小さくなるし、股関節屈筋に出力は増え、筋の硬さが出てくるかと思います。
こんな人は、左でのスムーズな動きができない股関節の痛みも訴える場合があるし、
右の筋の硬さによる股関節の痛みを訴える場合もあります。
両側痛い股関節でも、左右理由が別だという事です。
最近では、トレーニングで股関節の動きを考え、左右の足が入れ替わるようなトレーニングも
増えています。
いつも書きますが、それはとてもいいことです。
ですが、もし今回のように左の股関節が外旋から内旋時に軸回旋できていなかったら、
そんな状態でのトレーニングは、さらにその状態を助長し、もしかしたら悪化させる場合もあると
考えるべきかなと思います。
そうならないために、評価があり、知識があります。
まずは、歩行や動きを診て、その股関節の機能を捉えて、
アプローチできるようになるのがいいですね。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛