『姿勢とジャンプ力』の関係
【姿勢とジャンプ力の関係について】
スポーツ中の動作で多い『ジャンプ動作』。
バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、バドミントン、テニスなどなど。
様々なスポーツで行っていると思います。
また、近年ではプライオメトリクスという言葉がトレーニング界では広がり、多くのトレーニング指導者がプライオメトリクスのメニューを取り入れ指導に当たっています。
プライオメトリクスとは、素早いエキセントリックな筋活動の直後にコンセントリックな筋活動が行われると、コンセントリックのみの筋活動よりも短時間で大きな筋力が発揮できるというもの。
すなわち、プライオメトリクスは【爆発的な力】を生み出すことが出来ます。
部活やクラブでの練習やトレーニングでプライオメトリクスのトレーニングをしてもなかなかジャンプ力が上がらない。上がらないどころか膝が痛くなってきた・・腰が痛い・・・
そのような人、結構いると思います。
ジャンプ力が上がらない理由、ちゃんとあるのです。
今回は、ジャンプ力が上がらない理由を姿勢に着目して紐解いていきたいと思います。
~Swey back姿勢とジャンプ力~
この記事でもよく耳にするSwey back姿勢。
骨盤が後傾し、上半身の質量中心が後方に移動、バランスを取ろうと胸椎は後湾し頭部は前方へ偏移する。
そして、骨盤後傾により大腿四頭筋は伸張され過負荷になり、大殿筋は短縮位で弱体化していく。恐ろしい姿勢でしたね。
日本人はこのSwey back姿勢が約8割といわれています。
反対に、外国の選手(主に黒人)は骨盤が前傾しており、殿筋やハムストリングス、背筋優位といわれています。
日本人と、外国の選手のお尻の輪郭の違いは何となくイメージできるのではないでしょうか。
では、Swey back姿勢とジャンプ力、いったいどのような関係があるのでしょうか。
ジャンプという動作には様々な種類がありますが、今回は「その場でできるだけ高く跳んでみてください」のジャンプで解説していきます。
高く跳ぼうとしたとき、一度しゃがみ込むと思います。
地球上は重力があり、そこに立っている人間は常に床反力(地面反力)を身体に受けています。
床反力とは、物体の重さと比例して地面から反発する力の事を言います。
アナログの体重計をイメージするとわかりやすいですが、60㎏の人が体重計に乗って静止すると60㎏と表示されます。そりゃそうです。
次に、体重計の上でぐっとしゃがんでみます。すると一瞬体重が60㎏を大きく超えていき、次第に戻っていきます。
すなわち、地面を強く踏むと、その力に比例して床反力が強くなるという事です。
話を戻します。
「その場で高く跳んでください」といった時、一度しゃがみ込むあの動き、実は無意識に床反力をもらおうとしていたのです。
床から反発する力が強ければ強いほど高く跳ぶことが出来ます。
しかしそれにはある条件があります。
骨盤の前傾です。
高くジャンプしようとした時、トリプルフレクションを使います。
この動きは股関節、膝関節、足関節を屈曲させ、各関節の筋肉(主に殿筋群、四頭筋、下腿三頭筋)を一瞬伸張させてエキセントリックの収縮をさせてからコンセントリックの収縮をさせ力強いジャンプ力を発揮します。
《トリプルフレクション》
そして床反力と、トリプルフレクションによる筋のエキセントリックの力で高くジャンプすることが出来ます。
ここでSwey back姿勢を思い出してください。
この姿勢は、骨盤後傾位で大殿筋とハムストリングスが短縮位でしたね。
もうこの時点で高くジャンプするために必要な条件から外れてしまいます。
この状態で、プライオメトリクスのジャンプトレーニングを何十回、何百回行っても、ジャンプ力は思うように上がってこないわけです。
もっと言うと、オスグットやジャンパー二―というスポーツ障害もこの骨盤後傾位でジャンプ動作を繰り返すことで発生してきます。
Swey backとオスグットについてはこちらから
また、先ほどもお話ししましたが、地面を強く踏んだ時に返ってくる床反力は身体重心に返ってきます。
骨盤前傾位で床反力をうまく身体に受けることが出来れば高くジャンプすることが出来るのですが、骨盤後傾位で身体重心が後方に位置するSwey back姿勢ではその力を効率よく身体に受けることが出来ません。

[骨盤後傾]

[骨盤前傾]
その結果高くジャンプすることが出来ないばかりでなく、過剰に筋力を使ってジャンプしようとするので、疲労しやすくケガもしやすいという悪循環となります。
このように高くジャンプできないのには理由が必ずあります。
もちろん単純に筋力的なことかもしれません。
今回はスポーツ中の数ある動作の中から、ジャンプ力に焦点を当てお話ししましたが、
私たち治療家やトレーニング指導者は、その動作がなぜできないのか、うまくいかないのか、そこの理由を探求しアプローチしていく必要があります。
そうしないと、一生懸命に練習やトレーニングを行ってもなかなか結果が出ない、ましてやそういう選手ほどケガをしてしまうという事態になりかねません。
そういう選手を一人でも多く救いたいです。
スポーツラボ鍼接骨院 小池 隆史【柔道整復師】