【これから姿勢の評価や動作分析をしていきたいと思っている方へ】
【これから姿勢の評価や動作分析をしていきたいと思っている方へ】
~姿勢の診かた~
なぜ姿勢分析・動作分析をするのか?
私たちは、患者さんの痛みを改善するため、動作でのエラーを見つけ治すために姿勢を診ます。
姿勢をみることで、そのヒントが見つかるからです。
私も、何人も何人も姿勢を診させてもらって、患者さんの問題点となっている部分をスムーズに見つけられるようになりました。
治したいと思っているけど、「問題点が分からない」、「治し方が分からない」、「診かたが分からない」。
学校で習ったことだけでは、実際に患者さんが目の前に来た時にどうしていいかわからなかった。もっと治療のレベルを上げたい。
そんな風に思っている方にぜひチャレンジしてもらいたいです。
まずは、、
姿勢を診られるようになりましょう。
それができて、その先に動作分析があると思ってください。
では、どうやって診ていくのか?
今回は、そんなお話をさせていただきます。
まず、
立位の姿勢(静的アライメント)を診ていきます。
静的アライメントは骨や筋を触れて評価することができますから
どんな事を診るのか分かったうえで触れていきましょう。
ポイントとなるのは、とにかくまずは骨!
患者さんにその場で足踏みをしてもらって、
真っ直ぐ立ってもらい、
そこからスタートです!
【ポイント】
①骨盤(ASIS・PSIS、腸骨稜)
②胸郭(下位・上位)
③下肢(大腿骨・下腿)
これらを触っていきます。
それでは、それぞれ説明していきます。
①骨盤
骨盤診るときにポイントとなってくるのが
「上前腸骨棘」(ASIS)・「上後腸骨棘」(PSIS)です。
上前腸骨棘(ASIS)は
骨盤を触ったときに、お腹側で一番骨の出ているところです。
腸骨稜をなぞって前方に降りていくとポコっと突出している部分を確認できますので、
そこを触ってみてください。
上後腸骨棘(PSIS)は
上前腸骨棘(ASIS)と反対側に位置しています。
腰の下あたりで骨盤を後ろから把持したときに、ポコっと丸く触れる骨の部分です。
上後腸骨棘は触れにくいと思いますが、
骨盤の全体像を把握するのにとても大切になってきますので、触れられるようにしていきましょう。
ASISとPSISを中指と母指で触って把持することができれば良いですが、
術者の手の大きさや患者さんの体の大きさにより難しい場合は、ASISとPSIS順番に確認すればよいかと思います。
ASISとPSISを触れて分かるのが、
・骨盤の前傾・後傾
骨盤が前に傾いているのか、後ろに傾いているのか、
はたまた左右でずれているのかをみることができます。
・骨盤の回旋
骨盤がどのように回旋しているのかが分かります。
水平面上での動きになりますので、右が前に出ているのか、左が前に出ているのかをチェックします。
当サイト「動作分析と治療マネジメント」の中では骨盤の回旋についてよく話に出てきますし、大切な評価になってきます。
そして、骨盤ではもう一つ。
腸骨稜の一番高いところを左右で触ってみてください。
ウエストのあたりを横から挟んでみると左右の
・骨盤の高さ
が確認できます。左右差があるのかそろっているのかをみます。
骨盤は身体の中心部分に位置しますので、上半身のトラブルにも、下半身のトラブルにも影響が出やすいです。
今後、歩行などを診ていくうえでも、骨盤ははじめから重要になってくるポイントです。
②胸郭
「下位胸郭」と「上位胸郭」
下位胸郭は第7~12胸椎の範囲、上位胸郭は第1~6胸椎の範囲と考えます。
籠状である上位・下位胸郭を触れて
・左右どちらが前方にあるのか を確認します。
下位胸郭は肋骨の下あたりを後ろから把持して、
右が前にあるのか、左が前にあるのかを確認します。
上位胸郭は鎖骨下あたりで胸郭を触り、どちらが前に出ているのかを診ます。
肩の上から母指と示指の間で僧帽筋を挟むようにして触ります。
胸郭は、胸骨、肋骨、胸椎によって構成されています。
胸椎とつながっているので、その影響を受けやすく、
また下位胸郭は骨盤の上に載ってきますので骨盤による影響も受けやすいです。
③下肢
「大腿骨」と「下腿」
大腿骨をみるうえでポイントとなってくるのが、大転子です。
大腿骨の近位を外側から触ると外に突出している部分があります。そこが大転子です。
この大転子の位置を確認することで
・骨盤に対しての大転子の位置(前方・後方)
・大腿骨の回旋方向
が分かります。
大転子を外側から把持して、左右どちらが前方、後方にあるか
また、大転子を挟んで持った時に、外旋しているか、内旋しているかを診ます。
前方にある方が内旋しているというわけではないので、
前方・後方と内・外旋は分けてみましょう。
下腿
立位で下腿を確認するときに診るのが、腓骨頭です。
膝下で外側にポコっと出ているのが、腓骨頭です。
この腓骨頭を診ることで、
・下腿の回旋方向 が分かります。
腓骨頭は膝下外側にぽこっと出ていますのでわかりやすいかと思います。
腓骨頭が後ろにある方が、下腿外旋していると考えられます。
膝や足関節の症状に大きく関わってくるポイントです。
姿勢分析のスタートとしてまずは、これらがきちんと触れるようにしましょう。
そして骨を触って、どちらが前で後ろで、回旋していて、とみていくとごちゃごちゃになってしまう部分があります
それは、
「空間的」と「相対的」
という捉え方です。
空間的とは、前額面、矢状面、水平面に対する位置関係です。
例えば、大腿内旋・・・水平面上で見た時に内旋している
というとらえ方です。
相対的とは、隣り合うモノ(骨)との位置関係。
例えば、寛骨に対して大腿骨がどう回旋しているのか。
空間的には、大腿内旋しているが、寛骨がもっと内旋方向にある場合、
相対的には、寛骨に対して大腿は外旋している。という表現になります。
このように大腿骨1つをみても、見る視点によって言い方が変わります。
ここは、色々な教科書や資料、文献を読んでわかりにくくなりやすいところだと思うので、考え方を整理しておきましょう。
この考え方があることで、治療のアプローチが大きく変わってきます!
そして
知識だけ入っても、実際に触ることができなければその知識を生かすことができません。
何から始めていいか分からない方。
動作分析と治療マネジメントの記事を読んで、理解が難しかった方。
まず姿勢をみる練習をしてみて、実際に身体を診ることから始めてみるのも良いかもしれません。
イメージがつかめてくると思います。
実際に目の前で困っている人を助けるために、ヒントを得るためにやってみてはどうでしょうか。
岩瀨 優子(いわせ ゆうこ)【鍼灸師・アスレティックトレーナー】