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上半身・胸郭のアライメント

【スポーツ応用編】サッカー選手の股関節の痛みを考える

【スポーツ応用編】サッカー選手の股関節の痛みを考える

 

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サッカーやフットサルで股関節の痛みを抱える選手が多くいます。

 

小学生・中高生・大人、そして男女関係なく痛めます。

 

股関節の痛みと大まかに言っても、

・単純性股関節痛

・グロインペイン症候群

と診断がつくものもあれば、

 

そうではなく、筋肉の炎症、挫傷、などなんとなく痛めていますよと言われる場合もあると思います。

 

整形外科でレントゲンの異常がない場合、骨以外の問題を考えていかなければいけません。

 

骨以外の問題とは一体どういったものでしょうか?

 

 

骨盤の左右差から痛みが出る可能性がある

骨盤とは、左右の寛骨と呼ばれる骨と、仙骨・尾骨という昔しっぽだったと言われるお尻の真ん中に位置する骨で構成されています。

 

それら3つの骨は歩く、走る、踏ん張る、ジャンプする、そしてシュートするなどの動きの際に、

 

上手く3つの骨(骨盤)が動いて、力を足にお腹に、そして腕などに伝えてくれています。

 

この素晴らしい骨盤ですが、

 

この骨盤にはたくさんの筋肉や靱帯と呼ばれるスジが着いています。

 

これらは、先ほど話したように様々な動きに対応して、骨盤を動かし、また保護します。

 

ですが、あまりにも偏った動き、例えばずっと同じ足でシュートする、パスをするを繰り返すと、

 

軸脚にも、キック側の脚にも違うストレスがかかります。

 

それらは適切な回復時間があればいいのですが、

 

多くの場合はほぼ毎日のようにサッカーやフットサルをするため、回復する時間がなく、

 

どんどん疲労していきます。

 

そうなった骨盤は下の図のように、左右対称のまっすぐではなく、ゆがんでいきます。

 

 

このゆがんだ骨盤に着いている筋肉やスジ、さらには関節と呼ばれる骨と骨が合わさる場所が次第に痛みを出すことがあります。

 

それらが骨に異常のない、

 

・単純性股関節炎

・グロインペイン症候群

と言われます。

 

そうなると、この歪みを作り出した筋肉の硬さやスジの引っ張りを変えるようなマッサージや、

 

電気の治療、そしてストレッチをまずはしていく必要があります。

 

 

原因へのアプローチとは何か?

 

マッサージや、電気治療、そしてストレッチなどを入念に行い、痛みが減ってきたとしましょう。

 

ですが、考えてみてください。

 

なぜそうなってしまったのでしょうか?

 

疲労の回復が追い付かなかったと書きました。

 

たしかに疲労の回復が追い付かないのは大きな問題です。

 

ですが、なぜ疲労がピンポイントで溜まるかを考えなければいけません。

 

そうなると、普段の動きにヒントがあるはずです。

 

その選手特有の“クセ”が必ずあるはずです。

 

その“クセ”を変えていくことが、原因にアプローチすることだと言えます。

 

なので、私たちは選手のシュートの仕方に注目しています。

 

そこには多くの“もったいない”が隠れています。

 

股関節の痛みは筋力がありムキムキであれば痛くないかと言ったらそれは違います。

 

いくら筋肉がついていても、シュートの仕方や、走り方、さらには日常生活でのクセが痛みを引き起こすのです。

 

 

シュート動作をシンプルに考える

 

痛みが出る選手の特徴は決まってきています。

 

そして、それらは実は強いシュートや、遠くに飛ばすキックとも関連しています。

 

痛みの原因を変化させ、パフォーマンスアップも手に入るという事です。

 

以下が私たちの考え方です。

 

 

シュート動作を考える

 

『サッカーのシュート動作をシンプルに』

 

1.バックスイング期

 

 

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バックスイング期とは、キック脚のつま先が地面から離れる瞬間からキック脚の股関節が最大伸展位になるまで

※「熟練者・未熟練者におけるインステップキック動作解析」より引用※

 

このフェーズで大切なことは、

①キック脚から上半身までを一直線の棒にして体を前方に傾ける
②バックスイングをキック脚の股関節伸展で行う

①は陸上のスタートに近く、倒れていくことで身体重心を前に倒していきます。

この重りが倒れていくことで、実は軸足を置く位置が決まります。

倒れることがしっかりできていれば、それだけ軸足は遠くに置くことになり、

脚は前後に、より開脚します。

 

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そうなると、より開いた足を戻そうとする力が働き、キック力アップの1つとなるわけです。

この時に体が起き上がる選手は、軸脚を着いた際に、身体重心は後方に残りやすく、

前後の開脚も不足し、キック力も下がり、過度な腰の伸展が一気に入ります。これが「腰の痛み」です。

これは、軸足の股関節の後ろを床反力が通過するから起こります。

同じ現象が、軸足の膝にも起こります。

しっかりと①のように体が一直線な状態から軸足を着くことで膝が前に出すぎることも防ぐことができます。

膝の出すぎは、オスグッドシュラッター病など、膝の前の痛みを引き起こします。

キック脚のつま先が離れる瞬間と、ボールの位置、そして頭の位置を結んだ線が、ほぼ正三角形になっていることが正しいか正しくないかの目安です。

 

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次に②ですが、女子サッカー選手の悩みの多くに、男子と比べた際のキック力の弱さの問題があります。

この問題の一つに、キック脚側の純粋な股関節伸展不足があります。

普通に起立の状態で立っていて、キック脚を真後ろに振り上げるのを股関節の伸展と言います。

この動きが女子では少なく、その代わりを骨盤の後方回旋で行ってしまいます。

回旋させられた骨盤が戻ってくる勢いで、それが鞭のようにボールをはじくことは残念ですがありません。

そう考えると、純粋な股関節伸展運動は必須です。

キック動作の最初のこのポイントができていない場合、「痛み」につながる可能性が大幅にアップします。

②はあくまでも無理に足を後ろに引こうとした結果起こるので、①の体を前に一直線に倒していく意識を先にするのが大切です。

 

 

 

2.プレパレーション期

 

 

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プレパレーション期とは、キック脚の股関節が最大伸展位から、キック脚の膝関節最大屈曲位まで

 

このフェーズで大切なことは、

①軸脚が地面に着地し床反力が発生し、軸脚の内部関節モーメントが働く
②キック脚の股関節伸展位から伸張反射により戻ってくる

①床反力とは、加速した自分の体重が床についた際に、同じぐらいの床からの力が戻ることをいい、

それがどこに戻るかというと、体の中心である身体重心に戻ると言われています。

この場所は、大まかに言って第2仙椎の前方と言われています。

これを丹田と表現する人もいますが、正確には丹田ではなく、身体重心だという事です。

 

 

そして、身体重心に向かう床反力は、軸脚の各関節を動かす力を発生させます。

軸脚の足首を底屈させ、膝を屈曲させ、股関節を屈曲させます。

この外からの力に対抗しようと中からの力「筋力」を使って、耐えようとするわけです。

足首を背屈させるために、前脛骨筋・長母指伸筋・長趾伸筋が働き、

膝を伸展させるために、大腿四頭筋、特に広筋群が働き、

股関節を伸展させるために、大殿筋・ハムストリングス・内転筋群が働くわけです。

そして、この床反力(外部モーメント)と筋力(内部モーメント)により力を拮抗させ、軸脚は固定されます。

固定された軸脚は、キック脚にとっては最高の支点となり、より強いシュートを生み出すことになります。

握力を測る時に、ももに測っている手をつけると力が出ませんか?

あのように、固定されるところがあると、力はより発揮しやすいのです。

だから、軸脚の筋力は鍛える必要があるんです。

 

次に

②前回話したバックスイング期で純粋な股関節伸展をしようと話しました。

そうじゃないと、この股関節の伸張反射が使えません。

伸張反射とは簡単に言うと伸ばされたバネが一気に戻ろうとする力です。

これをうまく使うには、骨盤の回旋でバックスイングをしていてはいけないという事です。

そして正しく股関節伸展ができていれば、ここから一気に挟み込むような動きが起きます。

 

「シザース動作」です。

このシザース動作は“ハサミ”の動きですから、軸脚とキック脚の両方が刃になり、

中心に集まってくるわけです。

 

 

このシザース動作が速ければ速いほど、ムチのように足先がしなるわけです。

そして、次のフェーズに向けて大切な事が、軸脚のつま先に体重を載せていく意識を持つことです。

 

 

3.アクセラレーション期

 

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アクセラレーション期とは、キック脚の膝関節最大屈曲位からボールインパクトまで

このフェーズで大切なことは、

①身体重心に近い位置でボールインパクトする事
②軸脚は股関節を中心に重心を移動させるために前足部に体重を載せていく

①「2.プレパレーション期」でも話しましたが、

軸脚は床反力をもらい各関節が曲がったり伸びたりする。

それを止めようと筋肉が働いて、軸脚の各関節を絶妙な角度で固定してくれる。

その中で、股関節は屈曲位から伸展位へとシザース動作で変化していく。

 

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それにより、身体重心がボールに近づき、身体重心近くでインパクトすることになる。

この身体重心近くでのインパクトは最も強くシュートができる位置となる。

その理由は、バックスイング期の股関節の純粋な伸展動作による伸張反射、そしてシザース動作での、

股関節(大腿骨)の素早い屈曲により、下腿と足部が後からついてきて、ムチのようにしなる。

そのムチ先の下腿と足部が振り下ろされる位置がこの身体重心位置付近となる。

 

②もう一度軸脚の話ですが、地面に着いた足は床反力が働き始めます。

そして各関節はその床反力に対抗する筋力を使い、絶妙な関節の位置を保ちます。

これが保てないという事は、筋力が弱いという事です。

その中で膝関節は曲がりすぎたり、伸びすぎたりしません。

この時に動いている関節は「股関節」になります。 「股関節」が屈曲位から伸展位に床反力を制御しつつ筋力を発揮して動きます。

そしてその股関節の動きがスムーズに行くと、体重移動がスムーズに行え、軸脚の前足部に上手く乗ります。

この前足部に体重を乗せていくという行為は、ボールを前に強く飛ばすのに必須となります。

 

 

 

女子サッカー選手の多くにこのアクセラレーション期の問題があります。

その問題はというと、大腿部の素早い戻り「シザース動作」が男性よりも遅くなるということ。

そうなると、ムチのように下腿と足部がしなることはありません。

では、なぜこのシザース動作が遅いのかというと、バックスイング期の純粋な股関節の伸展不足につながるという事です。

なので、しっかり股関節を伸展する基礎は叩き込む必要があるという事です。

 

 

4.フォロースルー期

 

 

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フォロースルー期とは、ボールインパクトからキック脚の足が地面に着くまで

 

このフェーズで大切なことは、

 

①ボールインパクトからキック脚の膝伸展までの間に、軸脚の前足部に体重が乗っていること
②キック脚で着地すること

 

①はアクセラレーション期が大切になってくる。アクセラレーション期で前足部に移動するような股関節の使い方が

 

非常に大切になる。 「その結果として、前足部に乗った」が正解である。

 

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前足部に体重が乗るという事は、ボールを押し出すように蹴ることができているため、

 

ボールに自分の体重を乗せることができる。

 

ということは、強いシュートを打つことにつながる。

 

 

②は①の結果自然とそうなる。

 

軸脚に乗ったままのキックは、ブランコのように後ろから降りてきた足がボールに当たり、

 

また空へと上がるように弧を描いてしまう。

 

そうなると、前に強く飛ばしたいはずのキックの目的とはかけ離れてしまう。

 

アクセラレーション期から軸脚の前足部に乗せるという事は、 「弧」ではなく「直線」のイメージに近くなる。

 

そのため、後ろからまっすぐ走り込んで来た力を、軸脚が邪魔をせずに地面をコントロールして、キック脚に伝えます。

 

そのキック脚も「直線」のイメージで押し出すように力を乗せていきます。

 

大きな水たまりをジャンプするように、前に振り出されたキック脚は、自然と着地の脚へと変わります。

 

さらに「直線」ではなく「弧」を描いたキックは、股関節にかかる負担が大きくなります。

 

 

脚だけの力で行うキックは、骨盤のつがみをもたらします。

 

股関節の痛みがある選手は、自分のシュート動作を専門家に確認してもらう事をおススメします。

 

 

女子フットボール選手は、軸脚でのブランコキックが多く、そのブランコは股関節で行われず、骨盤の回旋で行われます。

それにより、鞭のようにしなるはずの下肢は機能せず、さらには軸足に体重が残るため、押し出すこともありません。

女子フットボール選手たちは、最初の加速スピードを意識する、股関節でバックスイングする、軸脚の前足部にのせる、

キック脚でボールを直線的に押し出す、この意識と反復練習が必要という事です。

 

 

股関節の痛みを取り除くには、治療とストレッチだけではなく、自分のシュートフォームを変化させることが必要だという事です。

 

 

 

髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表

アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な筋力強化、そ こからアスリートのパフォーマンスアップまでを組み立てる力は、業界 でも群を抜いている。
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛みを根本から 取りたい92歳まで、一人ひとりの目標に合わせ幅広く対応。動きの中 から痛 みの原因を探り、それを解決し、アスリートには動きの中からパフォーマンス アップに必要な問題点を改善する。その腕を信じ、県外からもクラ イアントが 多数訪れる。

 

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