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骨盤・股関節のアライメント

【バレエダンサーの動きと下肢の動き】

【バレエダンサーの動きと下肢の動き】

 

バレエをご存知ですか?

 

バレエのイメージというと

一般的に

「身体が柔らかい!」

といった印象をお持ちの方が多いのではないのでしょうか。

では、身体が柔らかいはずのバレエダンサーはなぜケガをするのでしょうか?

 

バレエダンサーは、並外れた柔軟性が必要な上に、それを安定させるだけの筋力、持久力が求められ、身体的なラインやプロポーションも非常に重要なポイントとなっています。

 

その上、様々なジャンルの踊りを芸術的にこなさなければいけません。

美しく華麗な裏側で、

ダンサーの80%がバレエ人生の中でケガをするといわれています。

しかし、65%のケガは予防できるものだとも研究で発見されているのも事実です。

 

 

今回は、そんなバレエダンサーに多い股関節の問題を、バレエの特徴的な下肢の動きと共に考えていきます。

 

バレエでは、基本となる足のポジションがあります。

両足が180度に開いてかかとがぴったりくっついている。

これを「1番ポジション」といいます。

 

真似してみた経験のある方もいるのではないでしょうか。

やってみようとすると、手も一緒に回旋してしまうような、、、

あのポーズです。↓

 

 

 正しくはこちら↓

 

この「1番ポジション」のように、足を開くことを「ターンアウト」といいます。

これはバレエの特徴的な動きと言っていいでしょう。

 

では、この「ターンアウト」、何をどこから開くことをいうのでしょうか?

 

これは股関節から「脚」(大腿より下の部分)を外旋させる動作になります。

 

気を付けなければいけないのは、

「ターンアウト」は決して「足」(足首から下の部分)を開くことではないです。

しかしバレエをやっている人のなかで起こっているのが、

「足」を180度開こうと、見せかけの「ターンアウト」をしている場合があることです。

 

股関節の形は、安定と運動という、相反する要求を満たすために球関節となっています。

大腿骨頭の球の部分が、寛骨臼のソケットと呼ばれる部分にはまっているので、様々な方向に動かすことができます。

そのソケットの中で大腿骨頭を外側に「回す」ことを「ターンアウト」といいます。

 

ここで問題となってくる部分が、

「ターンアウト」は、股関節での外旋を求められますが、

股関節外旋可動域が少ない場合、足部を床の摩擦を使って無理に開く場合が多いということです。

大腿に対して、下腿以下を強制的に外旋している状態。)

 

すると膝関節や足関節にねじれの力が加わり、回内足を生み出します。

この状態で踊り続けることによって、股関節だけでなく、膝関節、足部の障害を引き起こす可能性が高くなります。

 

 

大腿に対して、下腿がより外旋、足部回内・外転。

となってしまいがちということです。

 

股関節の外旋が正しくできないまま、無理やりターンアウトして練習していれば、下腿は外旋していってしまうでしょう。

 

股関節の外旋量が左右均等でない場合でも、左右同じように足を開かなくてはいけないので、股関節の外旋が少ないほうが、代償して下腿の外旋を強くする可能性もあります。

 

「開脚ができるから、身体が柔らかいから。」

ではなく股関節の外旋がきちんとできるかという点を見る必要があります。

 

 

そして、股関節の内外旋の可動域を見る際に、

股関節屈曲位で見ることが多いですが、この場合、股関節伸展位での可動域が必要となります。

 

股関節屈曲位で外旋を見ると、股関節前方に位置する靭帯は緩みますし、

股関節内旋筋である、大腿筋膜張筋・小殿筋・中殿筋も緩みます。

ターンアウトを邪魔するものがなくなるために、一見外旋可動域は確保される場合が多く、

「外旋できるね。」

となってしまう場合もあります。

 

「1番ポジション」は、股関節を屈曲させず、外旋させる動きであり、このポジションから様々な動きへとつながっていくのです。

 

可動域を獲得するためには、

股関節内旋筋である

・小殿筋

・中殿筋

・大腿筋膜張筋

が伸張性を持ち、動くことが必要になります。

 

 

そして、可動域があるとするならば、次は

股関節の外旋を安定させ、動かせなくてはいけません。

 

大腿骨を開こう、回そうと意識すると、太ももの前、お尻ががちがちに固まって逆に動かなくなってしまうことがよく起こります。

大殿筋、大腿直筋、大腿二頭筋これらは外旋の動作をする大きな筋肉です。

しかし、この大きな筋肉から動かし始めてしまうと筋肉が肥大し返って動きを妨げてしまいます。また大殿筋を固めると同時に反応して内転筋も固まります。

 

大事なのは深層筋を使う事!

 

ターンアウトは、大きな筋肉をなるべく固めずに、深層にある筋肉を意識することが重要になります。

深層にある筋肉は、

外旋六筋(梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋)

の事を指します。

この外旋六筋が機能することで股関節が外旋し安定します。

 

深層の外旋筋を正しくトレーニングして使えるようにしたうえで、バレエの様々な動きへと繋げていけると、起こらなくていい怪我を防ぐことができるのではないでしょうか。

 

またこのサイトでお話ししている、姿勢分析という観点からも問題点を抽出することは重要です。

骨盤のアライメントを考えると、

骨盤後傾タイプ

骨盤前傾タイプ

どちらもいますが、

姿勢をよくしなくてはいけない競技上、骨盤前傾・腰椎前弯・胸椎伸展しているタイプの方は多いように思います。

 

こういったバレエダンサーをみるときにも

これまでの姿勢の見方はできるはずです。

骨盤後傾位(sway back姿勢)であれば、内閉鎖筋等が短縮し固まってしまうことによって、外旋六筋が機能しなく、股関節の可動域・安定が得られない。

 

骨盤前傾位であれば、寛骨に対して大腿はどうか。

股関節内旋位であるならば、ターンアウトの邪魔をする筋が短縮していそうですよね。

 

その方の姿勢を分析することは、

怪我をした根本的な原因を突き止めえ行くのに、とても大切な要素だと思います。

 

姿勢や歩行を分析することと競技特性を考えて、その方の問題へとアプローチしていきたいですね。

 

 

 

岩瀬 優子(いわせゆうこ) 【鍼灸師・アスレティックトレーナー】 

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