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上半身・胸郭のアライメント

【前腕のアライメントによって起こる上肢の挙上制限】

【前腕のアライメントによって起こる上肢の挙上制限】

 

 

臨床で上肢の挙上制限がある方はよく見られるかと思います。

 

今回は前腕のアライメントによって起こる上肢の挙上制限について話していきます。

 

上肢の挙上制限がある方で、2パターンの人がいます。

 

1つは単純に肩が上がらないパターン、

 

もう1つは、肩を上げようとして下位肋骨あたりが上に上がってしまうパターン

(→ここではリブフレアといいます)

 

があります。

 

 

もちろん単純に肩の可動域が原因で挙上制限になる人が多いですが

 

前腕のアライメントが原因で挙上制限、または代償動作でリブフレアになることがあります。

 

結論から言うと

 

前腕の尺屈位が上肢の挙上制限になることがあります。

 

試しに普通に挙上した時と、手関節を強制的に尺屈位でテーピング固定して

 

何回かその場で挙上してもらうとわかるのですが、

 

尺屈位の方がだんだん肩の挙上制限を感じたり

代償的に肋骨が挙上してリブフレアになる人もいたのではないでしょうか。

 

これは、日常的な姿勢により尺屈位になりやすくなってきます。

 

例えば、デスクワークの人。

 

マウスを使う手は写真のようになります。

 

母指は掌側に変位し前腕は回内、そして手関節が尺屈に変位しています。

 

元々尺屈位の方が橈屈に比べて可動域が大きく解剖学的に自然とそうなりやすい肢位でもあります。

引用:https://muscle-guide.info/shukan_2.html

 

では、なぜ尺屈位だと挙上制限しやすいかというと上肢の運動連鎖により挙上しにくくなります。

 

先ほどデスクワーク姿勢が母指の掌側変位で手関節尺屈位、前腕回内ですが

 

これが上行性の運動連鎖だとすると上腕の遠位は前腕回内位に伴い上腕内旋します。

 

これは前腕屈筋が内側上顆を介して上腕内側筋間中隔につくので上腕のアライメントを変えてしまうことがあるからです。

引用:Thomas.Myers:Anatomy Trains 2ndedition, CHURCAILL LIVINGSTONE, 2009

 

そうなると相対的に肩甲上腕関節(→GH)外旋

 

マウス側に体が傾きやすいので肩甲骨は下制しやすくなります。

肩甲骨下制位では肩甲骨の上方回旋がしにくくなり挙上制限になりやすくなります。

 

上肢の運動連鎖ですがこの流れが絶対というわけではなく、

 

中には上腕の外旋が強く、相対的にGHが内旋しているパターンもあり

 

実際にその方を評価して判断する形がいいと思います。

 

デスクワーク以外でも野球で投げる際に尺屈優位になりやすかったり、テニスのグリップを持つ際にも尺屈優位になったりします。

 

 

尺屈位の評価としては

 

手首の掌側の皮膚を見た際、尺側にしわが深く入っていると

 

普段から尺屈優位と評価しやすくなります。

 

 

 

 

 

尺屈優位になる原因として

 

手指の橈屈制限

 

母指の掌側変位

 

これらが挙げられます。

 

 

 

手指の橈屈制限

これは内在筋、特に虫様筋、背側・底側骨間筋が固くなり橈屈が行きにくくなります。

 

評価としては、内在筋のストレッチで判断します。

 

まず内在筋の作用として

MP関節屈曲、DIPPIP関節伸展なので

 

写真のような形になります

 

 

 

なぜ内在筋が収縮してこの形になるかというと

 

引用: DonaldA.Neum ann:筋骨格系のキネシオロジー第3版、医歯薬出版株式会社、2018

 

 

 写真のように内在筋が中手骨(MP関節)掌側を通り、指背腱膜につくため

 

MP関節は屈曲で、DIPPIP関節は伸展します。

 

ですので、内在筋のストレッチとしてはこの作用の逆の動きをすればいいので

 

MP関節伸展、DIP PIP関節屈曲させます。

外在筋を収縮させた、写真のひっかくような手に持っていきストレッチ、評価していきます。

 

このストレッチで痛みが強い方はこれだけでも筋肉は緩みやすくなるのですが、

 

これに加えて

 

内・外転(*尺屈・橈屈)の評価をして手関節尺屈位かを確認します。

内・外転(*尺屈・橈屈)は骨間筋が主に作用するため細かく見ると

 

掌側骨間筋は中指に向かうように筋がつくので

内転(*尺屈)に動き、

引用:Y o u T u b e 『H a n d m u s c l e 』より 改 変 引 用

 

背側骨間筋は中指から離れるように筋がつくので

外転(*橈屈)に動きます。

 引用:Y o u T u b e 『H a n d m u s c l e 』より 改 変 引 用

 

ですので、尺屈優位の方は

 

外在筋の肢位で橈屈方向(外転)に指をストレッチすると、

 

制限されやすい可能性があるためしっかりと橈側方向にストレッチします。

(→背側骨間筋が固い人はもちろん尺側方向⦅内転⦆も動きにくい可能性があるためストレッチしてください。)

 

注意点として手関節背屈位だと外在筋が収縮してしまうので、

 

できれば中間位やや屈曲位でストレッチすると伸びている感じがわかると思います。

 

 

 

 

 

母指の掌側変位

最初のデスクワーク姿勢で、マウスを持つ手は母指の掌側変位で前腕回内し、

 

そのせいで前腕尺屈位になっていました。

 

母指の掌側変位は母指の橈側外転が行きにくくなるので、これを評価します。

 

まず、母指の掌側変位に関わる原因の筋肉としては

 

・長掌筋(+母指球筋)

・長母指外転筋/短母指伸筋/長母趾伸筋

 

これらがあります。

 

 

まず、なぜ長掌筋かというと

 

長掌筋は屈筋支帯を通って手掌腱膜に停止します。

引用:中村耕三  運動器臨床解剖アトラス、医学書院、2013

 

屈筋支帯から母指球筋は起始するので、

 

長掌筋が固くなると母指球筋を介して母指の掌側変位をさせると言われています。

 

長掌筋の出し方としては、母指と小指合わせて手関節屈曲すると真ん中に腱が出てきます。

※長掌筋を持たない方もいます。

 

母指の掌側変位の評価としては

 

まず母指を橈側外転した際外転しにくい、

 

または中手骨がきれいに外転せず、

掌側に落ち込む感じがあると掌側変位ととらえていいかと思います。

 

※開いているように見えていても、きちんと外転できてないときが多いので細かくチェックします。

 

長掌筋の固さを取るだけでは母指は開きにくいので、

もちろん母指球筋や第1・2 背側骨間筋、母指内転筋もアプローチします。

 

アプローチ後、橈側外転しやすくなればOKです。

 

 

次に、なぜ長母指外転筋/短母指伸筋/長母趾伸筋が原因かと言うと

 

これらの筋肉は収縮時、橈骨を乗り超えるように働きます。

掌側変位例はたとえ可動域があったとしても橈側外転方向に力が発揮出にくくなるので

 

橈骨の上をこれらの筋肉がスムーズに動けるようにしないといけないからです。

 

 

 

今まで肩の方をたくさんアプローチしたけどなかなか挙上制限がとれない、

 

代償動作でリブフレアになってしまう方は

 

これらの考え方も頭においていただけるといいのではないかと思います。

 

これらをアプローチは、すぐに変化が見られにくいですが

 

続けてアプローチしていくことで手関節尺屈位は少しずつ改善していくと思います。

 

是非治療する時に参考になると幸いです。

 

 

 

 

柔道整復師

仲 早詠子

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