【基礎】骨盤の触診で回旋を見抜く
【骨盤の診方 基礎1】
まずは、骨盤を診るときのポイントです。
「では立って姿勢を見せてください」と言ったときに、
大抵の方はいつもよりきれいに立とうとします。
胸を張り、あごを引き、肩も後ろに引くかもしれません。
いつもの姿勢を診たいのに診られない場合もあります。
ですが、その中で騙すことができないのが「回旋」です。
骨盤の回旋は、一般の方は「自分が回旋している」という感覚はありません。
そのため、キレイに立つ時に、わざわざ回旋を戻して立たないのです。では、その骨盤の回旋を見てみましょう。
ここで用いる骨の指標は、上前腸骨棘(以下ASIS)です。
ASISは、骨盤の全面に位置し、腸骨稜から前方に降りていくと、指先大の大きさで骨が突出しているのが触れる場所です。
このASISはオペなどの既往がない限り、ほぼ左右しっかり触れられるため、多くの先生方が指標として使います。
ASISを後ろから骨盤を包むように触れてみましょう。触れるときのコツは、中指で触れるのがいいと思います。
中指は人差し指よりも長いので、手をまわしやすいという利点と、多くの臨床家は人差し指を自由にしており、施術の際も中指や環指で触診するケースが多いです。
一流の臨床家になるためには、何気ない動作や手つき、そして雰囲気も重要な要素ではないでしょうか。
そして、母指の方も考えましょう。
母指はASISと対極に位置する上後腸骨棘(以下 PSIS)を触ります。
このPSISはASISよりも骨の突出が少なく、始めは触りにくく感じるかもしれませんが、そこはあきらめずに必ず触り続けましょう。
このASISとPSISは、子供などまだ小さい体の場合は、一度に母指と中指で触ることができますが、大きくなってくると、相当な手の大きさでないと一度に触れません。
なので、まずはASIS、次にPSISといった具合に交互に触れるようにしてください。

さて、骨の指標を触れるのは解りました。
問題はいったい何の情報を得たいのか?です。
そうです、それが一番大事です。
静的アライメント評価の姿勢評価は、実際に触れることができるので、何を知りたくて触れるのかが問題になります。
そしてそれが、冒頭でもお話しした「骨盤の回旋」です。
正中線が体の中を貫通し、ちょうど体の中心で止まったとしましょう。
この軸を基準として左右どちらのASISが前に出ているのかを触れて感じます。
PSISも同様ですね。もし右のASISが前に出ていれば、正中線を軸として左回旋していることになります。
この回旋は右が前に出ているから右回旋ではなく左にぐるっと回っているので左回旋です。
ここは注意です。

それでは、
たとえば左回旋が骨盤の静的アライメント評価で分かったとします。
そうなると、右の骨盤は前方にでていきます。ただ回旋しているのではなくて、やや、上半身は後ろに重心を残しながら、骨盤が前に出ている形をイメージしてください。
このような傾向が非常に多く見られます。

この姿勢がSway-back姿勢と呼ばれ、様々な痛みを引き起こす要因でもあります。
骨盤が回旋し、前方に出ていく。
言い替えると、骨盤が左回旋し、右の骨盤が前方に偏移する。
こうなると、実は腰椎分離症などで用いるテスト法のケンプテストというテストの形に近くなります。
ケンプテストは腰椎に回旋と伸展を行わせ、痛みの再現性をみるテストですが、その状態が毎日続いていると考えてください。
そうです、それが片側性の腰痛につながってくるのです。
骨盤の回旋を診られるという事は、片側性の腰痛患者さんの原因を突き止めることができるという事なんです!
骨盤の回旋をASISとPSISで見極めることで片側性腰痛などの原因を突き止めることになる。
それぐらい、骨盤の回旋を診ることは大切だという事です。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛