【膝関節伸展制限と姿勢分析】
【膝関節伸展制限と姿勢分析】
今回は、膝関節伸展制限と姿勢分析についてお話させていただきます。
まず最初に膝関節の軸についてです。
膝関節の軸とは回旋の軸で、
「カパンディ関節の生理学」では『軸回旋の真の軸は2つの顆間結節の中心ではなく、
関節のピボットの中心をなす内側結節を通り抜けるのである。』と記載されています。
ということは、膝関節の回旋軸は真ん中より内側に存在するという事です。
内側に軸があるということは外側の可動域がなければ、伸展や屈曲の制限になりそうではないでしょうか。
次にスクリューホームムーブメント。
これは、膝関節の伸展しているときに、最終伸展域の30°くらいから起きる不随意の外旋運動のことをいいます。
ご存知かと思いますが、
スクリューホームムーブメントがおこるメカニズムを大きく分けると、
・外側顆が内側顆に比べて自由に動く為
・MCLが強固に内側顆と結合している為
・ACLが緊張する為
膝の伸展運動に対してスクリューホームムーブメントは最終域で外旋することで膝関節の安定をはかっています。
しかしこの際、外旋運動だけではなく
膝関節伸展運動では
脛骨外旋 + 脛骨後方移動 + 大腿骨内旋 + 大腿骨前方移動
の動きが必要なのです。
そして本題の膝関節伸展制限。
この膝関節伸展制限の因子として、以下のものが考えられます。
【構造的因子・急性因子】
骨性:重度の変形、骨棘、異所性骨化、骨壊死、軟骨障害(成長期)
浮腫/腫脹:屈曲制限因子の要素が大きい
【機能的因子・軟部組織】
後方関節包/腓腹筋
膝蓋下脂肪体
アライメント不良
(D2セミナー内容より引用)
など。
そして、膝関節伸展制限の因子が何かを見つけ出してどこをどのようにアプローチしていくかを、
全身のアライメントや歩行などで評価していきます。
骨の変形が原因で内側の関節列隙が衝突している場合は整形外科をすすめることもあります。
ですが、軟部組織やアライメントの問題でしたら改善すると思います。
また、セミナーにもありますが人は骨盤の回旋差によって左右対称に歩けていません。
骨盤前方回旋側又は踏み出し脚側のアライメントの傾向として、
骨盤後傾に対して大腿骨は外旋。
結果的に寬骨がインフレアする事が多い。
そして、
脛骨は大腿骨に対して外旋、
大腿骨は脛骨に対して内旋していることが多く、
ランジ動作ではknee-in toe-outになる事がほとんど。
このようなアライメントの床反力は膝関節の後方を通るため
膝関節は屈曲位になりやすいので、
結果的に伸展制限になりやすくなります。
そして、このアライメントの時間が長ければ長いほど、関節包や軟部組織の動きが悪くなり
膝関節伸展の可動域が失われる方も多いかと思います。
膝だけではなく、
姿勢や歩行を見抜くことで、膝関節伸展制限を改善出来る近道かもしれません。
中川裕太(なかがわゆうた)【柔道整復師】
スポーツラボ鍼整骨院滝ノ水
小学生から高校まで野球をしており、自分自身がケガをしたのがきっかけで治療の道へ進む。
店舗では、小学生低学年から80歳までの患者さんの治療やトレーニングをさせて頂いています。