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骨盤・股関節のアライメント

【骨盤挙上側の内転筋について】

骨盤挙上側の内転筋について

 

日々の治療の中で様々な患者さんに出会うことと思います。

股関節の痛み・大腿内側の痛みがある患者さん。

これらはサッカーをしている方に多いのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

サッカーをしている方に限りませんが、

サッカーをしている患者さんにそのような痛みを訴えるイメージがあります。

それも利き足側。

 

 

今回は骨盤挙上側の内転筋について話を進めていきます。

 

 

 

まず初めに内転筋とは

股関節の内転に作用する筋群のことを指します。

 大雑把にまとめられていますが、いわゆる内転筋と呼ばれるものには、

大内転筋、小内転筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋などがあります。

 

内転筋についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

 

内転筋群には股関節の内転という

前額面上の機能だけではなく

矢状面水平面上の機能を持っています。

前額面

内転筋群の最も明らかな機能として股関節の内転です。

骨盤に対して大腿骨の内転

荷重位では大腿に対して骨盤の挙上が生じます。

矢状面

以前の記事にも書いてあるように内転筋群には

・股関節屈曲時には股関節の伸展

・股関節伸展時には股関節の屈曲

                 の作用があります。

正確には

股関節屈曲位では長内転筋大内転筋

股関節伸展位では長内転筋がこの作用を持ちます。

 

水平面

内転筋の多くは

大腿骨の骨幹部後面にある粗線に付着します。

 

 

 

 

 

 

 

A: D.A.Neumann 原著 筋骨格系のキネシオロジー p544より引用

 

そのため、外旋の作用がありそうですが、

大腿骨の生理的前彎により、

大腿骨の回転軸よりも内転筋の付着部である粗線が前方を走行するために、

内旋のモーメントアームを発生させます。

 

このように内転筋は3方向へのトルク

出力することができる筋群であり、

大腿部における筋群での体積を約25%

占める大きな筋群です。

多方向への動きが関係する分大きな負荷がかかり、

損傷しやすいことが予想されます。

 

これらのことを踏まえ、

骨盤挙上側の内転筋には何が起こっているのか考えてみます。

 

まず初めに、骨盤挙上側の股関節

どのようになっているか考えます。

 

左右の腸骨稜の最高点を比較し、骨盤挙上側がどちらであるかをみます。

 

 

 

 

 

 

 

高位側 右:股関節内転位傾向

低位側 左:股関節外転位傾向

 

*この時に骨盤の高低差が

・左右の脚長差など構造的な問題であるかどうか

・脊柱由来の問題であるか  を確認するために、

ワイドスタンステストを行いましょう。

 

 

 

 

 

 

 

ワイドスタンステストで

        高低差が変わらない場合—下肢の構造的な問題、脊柱由来の問題がある

        高低差が変わる場合—下肢の機能に問題がある

という判断ができるかと思います。

 

下肢の構造的な問題、脊柱に問題がないことを確認した上で、次は骨盤の側方swayテストを行います。

 側方swayについてはこちら

 

今回は骨盤挙上側の側方swayが大きいだろうなと予測を立てながら、確認の意味で行います。

 

側方swayが大きい側が

股関節内転位傾向能動制御ができていない(受動支持である)ことが分かります。

 

 

股関節内転優位で内転筋の状態がどうなっているのかはもうお分かりですか?

 

内転筋のハイスティフネス(短縮位)

が考えられますよね?

 

内転筋がそのような状態でボールを蹴る、

その出力に対して筋がついていけず痛みが出てしまいます。

 

 

 

 

 

 

非常に体積が大きいかつ多方向への動きがある内転筋と、

股関節屈曲・伸展筋群との滑走不全があれば

そこへのアプローチは必須であると思います。

 

その上で、内転筋のハイスティフネスへの改善として、

遠心性収縮を促すエクササイズである

四股スクワットをお伝えします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように広く足を広げ、股関節を外旋45°くらいで立ちます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体幹がまっすぐのまま、骨盤をそのまま降ろし、

相撲の四股のような姿勢を作ります。

この時、内転筋のストレッチ感があるはずです。

 

注意点として、膝が前に出ないように注意しましょう。

 

 

 

 

×膝が前に出ている例

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇良い例

 

 

 

 

骨盤を降ろした状態から、内転筋の収縮を使い元の姿勢に体幹をあげていきます。

 

これを行うと、内転筋の遠心性収縮により、

股関節の前額面上の能動制御機能が改善し、側方Swayが出にくくなります。

歩行時に骨盤のSwayがなくなるので、正しい前方回旋がでてくることになります。

 

 

さらに歩行時での骨盤挙上側かつ側方sway優位側は、

歩行中の股関節の内転がでてしまいます。

その結果、股関節の内旋が制限され反対側の足が出にくくなることで

外側荷重が促されます。

 

骨盤挙上かつ側方sway側の内転筋にアプローチすることで

外側荷重の改善をすることができます。

 

骨盤挙上側の内転筋についてお話をさせていただきました。

 

内転筋は体積も出力も大きく、

多方向に動く股関節において多大な役割を担うため、

姿勢制御や歩行においても大きく影響をしてきます。

 

今回のようにパターンが当てはまるようなものもあれば、

そうでないものもあります。

 

毎回の評価―治療・エクササイズ―再評価の繰り返しの際に、細部を見つつ、全体も見る。

これを徹底して継続することが、患者さんのために繋がるはずですね。

 

 

 坂本裕哉(さかもと ゆうや)

【柔道整復師】

 

 

 

 

 

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