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上半身・胸郭のアライメント

下肢・体幹のアプローチをしても変化が出ない原因~上肢帯へのアプローチ~

  • 【下肢・体幹のアプローチをしても変化が出ない原因】

~上肢帯へのアプローチ~

 

セミナーに参加してくださっている先生や、コラムをご覧になってくださっている先生方は、アライメントの見方や、歩行評価を元にいろんなアプローチをされていると思います。

上行性の運動連鎖によって腰部や股関節、そして肩関節や頚部の痛み、可動域制限が起きているということは多いと思います。

人間は2足歩行をしているため、その影響はもちろん出やすいと考えられます。

しかし、私が今まで関わってきたクライアント様の中には下肢や体幹のアプローチをしても変化が出ない場合があります。

もちろん狙いが違っていれば変化はでないのですが、狙いを変えても変化が出ずに悩むことがあります。そして、アプローチ後はアライメントや痛みの変化が出ても、次に来たときにはまた元に戻ってしまっているということもあります。

初めての姿勢分析

今回は私が実際に治療をしているクライアント様で、下肢と体幹以外にも痛みの原因があったと思われる方の話です。

40代女性で、お仕事は事務作業をされています。右の股関節痛ですが座っているときには痛みはなく、立って歩き始めると痛みが出現します。画像では特に変形などはみられていないということでした。

 

簡単なアライメントに関しては、骨盤右前方回旋があり、上半身の質量中心も右。右は典型的なスウェイバッグ姿勢になっていました。

足部も下腿外旋、それにともない大腿の内旋、足関節は背屈制限があります。

治療でまず行ったのが足部のアライメント修正で背屈を出していき、骨盤の右前方回旋を改善することで踏み出し脚を左側にしました。

詳しいアプローチ方法に関しては以前のコラムを参考にしてください。

歩行動作における足関節背屈制限が与える影響】についてはこちら

そして次に変えたのは上半身の質量中心を左側にいきやすくしました。

 

【上半身からみる痛みの原因】についてはこちら

 

それらを行うことで、クライアントさんの歩行時の右の股関節痛は3/10程に落ちました。

しかし次の日、仕事を終えてから来院して頂くとまた、痛みが出てアライメントももとに戻っていました。

ご本人に伺うと、治療した次の日の朝までは調子がよかったが、仕事が終わったら痛みが戻っていたということでした。

 

もう一度歩行をチェックします。すると、上半身の質量中心はまだ右にあり、そしてさらに、前回見切れていませんでしたが、歩行時、常に右の肩関節が外転していたのです。

そこで、仕事が終わった後に痛みが戻ったというとだったため、仕事中の姿勢を再現してもらいました。

 

パソコンに向かい、タイピングをしているときの姿勢は、肩甲骨外転、肩関節外転、前腕回内、上腕は前腕よりも相対的に外旋でした。

 

もちろん脊柱や骨盤も変えていかなくてはいけませんが、今回、このクライアントさんはもしかしたら上肢帯(今回は鎖骨、肩甲骨、上腕、前腕、手部のことを言います)の影響が強いのではないかと思い、今までの治療プラス上肢帯のアライメントを修正していきました。

 

狙ったところで特に癒着が起きていたのは、上腕外側筋間中隔です。

上腕には上腕の屈筋と伸筋の境目に内側と外側の筋間中隔があり、

上腕外筋間中隔は、上腕筋と上腕三頭筋を隔てています。

内側筋間中隔は、上腕二頭筋と上腕三頭筋を隔てています。

上腕筋と上腕三頭筋を分けるようにリリースを行っていきました。(ここには、橈骨神経が通るのでもしかしたら締扼されている可能性もあるかもしれません。)

そして、外側筋間中隔は遠位は外側上顆の方まで繋がっているため、そこに付着する筋も一緒に引っ張られてしまうことも考えられます。腕橈骨筋は、外側上顆よりも少し近位に付着するため、まさに引っ張られているような張りが見られました。

そこも一緒にリリースをします。

そして、もうひとつは前腕回内位を修正します。

常に回内位で固定されているため、回内筋をリリースしていくのですが、その際に前腕を回外方向に誘導しながら行います。そうすることで、より回内は改善されやすくなりました。

これらをした後に、もう一度歩行をしてもらうと痛みもかなり軽減されていましたし、右肩関節の外転も改善されていました。

 

そして、また次に仕事をしてから来院してもらうと、前のように痛みが戻ることは無くなったということでしたので、お家ではご自分で外側筋間中隔のリリースと前腕を回外方向に持っていきながら回内筋のリリースをしてもらうよう、指導をさせていただきました。

 

今現在、治療を初めて3週間になりますが右股関節の痛みは出ていません。

 

このように、股関節の痛みであってもそれが下肢や体幹だけの問題でなく上肢帯の影響の場合もあるということを改めて実感しました。

 

そのクライアントさんの日常生活の中での姿勢や何気なく行っていることがアライメント不良を起こしていくことは間違いないのですが、それを聞き出し治療に繋げていく大切さと、ひとつにとらわれすぎず、いろんな角度から診られるようにならなくてはいけないと思います。

ぜひ今回の症例が何か先生方のプラスになれば幸いです。

一人でも多くの方が痛みなく、楽しく生活していただけるように考えていきたいものです。

 

【これから姿勢の評価や動作分析をしていきたいと思っている方へ】

増田鮎美 (ますだあゆみ)【柔道整複師】

アスリート鍼灸整骨院/Athlete-village浜松

学生から社会人までのソフトボールの経験を生かし、現在は、体に痛みや不安のある方の治療や、スポーツ選手のトレーニング指導を行う。学生から一般の方まで幅広く対応している。

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