片側性腰痛の原因と治療のすすめ方
今回は片側性腰痛の原因とその原因に対してのアプローチを実際の患者さんに当てはめてお話していきます。
腰痛の原因として、考えられるのは
腰部の回旋要素に加え
●股関節の前額面(内転、外転)、矢状面(屈曲、伸展)のストレス
●上位胸郭の後方変位による下位腰椎の伸展ストレス
●上半身重心(U‐COG)、骨盤の高位による圧縮ストレス
があると思います。
では、なぜ片側に起こるのでしょうか。
それを紐解いていきます。
■主訴
左腰方形筋の痛み
※ヒトは左右対象に歩けていないのが前提でお話させていただきます。
ヒトは骨盤の回旋差がある中で生活していますし、
それをいくつかの評価方法で踏み出し脚、蹴り出し脚として、決定することで片側性腰痛の原因が見えてきます。
まず、
骨盤の前方回旋優位側を決定していきます。
検査方法は、
①触診
立位アライメント評価
ASISとPSISを基準に触わる
左右の骨盤を把持し自分の手がどちらが前にあるかを見る
■評価事項
・骨盤の前方回旋
・骨盤高位
🔴評価の結果
左のASISが前方に突出している
(以下🔴に省略)
この時骨盤の高さにも注目し
骨盤高位であれば、股関節内転位となる。
前方回旋の評価について詳しくはこちら⇩
②立位骨盤回旋テスト
・歩行時の歩隔で立つ。
・右、左交互に回旋させる。
骨盤の正中線上にテープを貼ると回旋量が見えやすい
🔴骨盤の右回旋量が大きい
骨盤の右回旋が大きいと、骨盤の左前方回旋
骨盤の左回旋が大きいと、骨盤の右前方回旋
となるので注意が必要。
◾︎評価事項
回旋時の骨盤の回旋量・差
下腿に対する大腿の内旋
◾︎解釈
前方回旋優位側=踏み出し脚傾向
後方回旋優位側=蹴り出し脚傾向
※下位胸郭と骨盤が同側回旋位の場合、その同側に回旋量が大きい
特に回内足の強い側の前方回旋大きい傾向
③FFD評価
■評価事項
・骨盤の前傾可動域
・股関節の屈曲可動域
・より屈曲が優位な場所をみつける
🔴胸椎の屈曲が強い
つまり股関節よりも胸椎優位で屈曲してしまう。
④股関節屈曲つまり感評価
仰向けで股関節を屈曲させ、股関節前面のつまり感を評価
・前方回旋、踏み出し脚と一致するかの確認
🔴左側の股関節前面のつまり感を確認
⑤歩行評価
踏み出し脚、前方回旋側、骨盤SWAY、上半身の移動量の確認
🔴左踏み出し脚、左前方回旋、左の骨盤SWAY
以上のことから
左の骨盤が踏み出し脚=前方回旋優位側と決定しました。
踏み出し脚=骨盤前方回旋優位側が決定できると左側への矢状面(内転)、前額面(伸展)のストレスが増大します。
さらに
片足立位を評価してみました。
すると、見覚えのあるこの姿勢。
そうです。
sway back postureです。
ということは、
上位胸郭の後方変位による腰椎の伸展ストレスも入ってしまいます。
この方の片側性腰痛の原因は、
●sway back postureによる
・腰椎伸展ストレス
●骨盤の左前方回旋による
・矢状面(股関節内転)ストレス
・前額面(股関節伸展)ストレス
・胸腰筋膜の外方牽引ストレス
と予測出来ます。
痛みの原因である
左前方回旋とsway back postureにアプローチしてみました。
・筋間中隔へのリリース
(滑走改善)
筋膜リリースについて詳しくはコチラ⇩
・股関節前面の皮膚誘導
皮膚が関節に与える影響についてこちら⇩
・内転筋のストレッチ
(短縮を伸長)
・ヒップリフト
(sway back postureによるハムストリングスの短縮改善)
・左スクワットキープ
(股関節伸筋群の遠心性収縮制御)
スクワット姿勢のまま左脚に荷重をかけ体重を支える
結果は、
●骨盤の前傾
●骨盤の右回旋の減少
●股関節のつまり感の減少
が確認できました。
なにより、2週間ほどで痛みがなくなったのが一番の結果です。
お仕事上、常に左の骨盤を前にして作業をしているため骨盤の左前方回旋が優位になったのではないかと思います。
今回は、
・左前方回旋
・swayback
にアプローチをし姿勢の改善がみられたので痛みの軽減ができました。
もし、痛みの軽減が出来ない場合
・上半身の左右の移動量(圧縮ストレス)
・足部からくる運動連鎖
なども考えられますのでここで終わりではありません。
是非治療の参考にしてみてください。
鍼灸師
竹村望亜