胸郭のアライメントと重心を考える③
「痛い関節と上半身質量中心を比べればいい」
前回の答えがこれでした。
まだ読んでいない方はこの2つを先に読んでからにしてください。こちら↓
前回は、上半身質量中心が左に倒れていけば、右の股関節の外側は張ってくるといったことをお話しさせていただきました。
この場合、右の股関節はトレンデレンブルグ兆候のように左の骨盤が下制することが多いと思います。
だからと言って、全て右の中殿筋が「弱い」とは限りません。
遠心性にがんばっている右の中殿筋は決して弱いだけではないはずです。
そして、今日は「もし上半身質量中心が痛い関節よりも後ろにあったら」の話をさせてください。
姿勢の名前で言うと、Sway-back姿勢となるはずです。
前回話したように、右の股関節が痛いとしましょう。
そして、上半身質量中心が中心よりも左にある。その時点で右の股関節の外側はがんばる。
これにプラスで、右の股関節よりも上半身質量中心が後ろにあるとします。
こうなると、右の股関節の頑張る場所はどうなるでしょう。
前面がより頑張り出します。
<右股関節が前方にある図〉
〈より右の股関節がより前方にある図〉
そのため、外側と前面の2面が頑張り出すので、その間にあるTFLなどはより強く頑張ることになります。
それがいたずらをすれば、下腿まで影響を与えます。
TFLはガーディー結節に停止がありますから、下腿を外旋方向にもっていきます。
そうなると、ST関節は・・・・
というように、下行性の運動連鎖でつなげられる事ができます。
前額面だけでなく、矢状面も、そして水平面までどうなっているかをイメージすることが患者さんの痛みを理解することにつながるわけです。
上半身質量中心が痛いと訴えている右の股関節の左にあって、さらに後方にあれば、右の股関節は前方と外側ががんばるなとなるわけです。
そして、左には痛みが出ない理由もこれによってわかってくるというわけです。
右の方が左よりも前方にでていれば右の前面は左よりも頑張るわけですから、これが理由ですよね。
上半身の重心をみるだけで、多くのヒントが今までよりも手に入る事でしょう。
患者さんのなかなか治らない痛みは、患者さんが悪いのではなく、僕たちが見抜いていない姿勢が、生活の中、歩行の中であるんでしょうね。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛