膝関節のアライメントと膝蓋骨のアライメント
膝蓋骨のポジションについての基本のお話をさせてください。
人体最大の種子骨の膝蓋骨ですが、大腿骨と脛骨がもしまっすぐな状態であれば、左右や上下に引っ張られることはありません。
仮に大腿骨が固定されて、動かない状態としてのお話をします。
もし大腿骨が固定されて、脛骨が大腿骨に対して外旋(外にねじれるような動き)したら、膝蓋骨はどうなるでしょうか?
膝蓋骨は大腿四頭筋が膝蓋腱となり膝蓋骨をまたいで、膝蓋靭帯となり脛骨粗面に付着すると言われています。
大腿骨がやや膝から見て外側へ傾いている構造のため、大腿四頭筋の走行も似たような走行になります。
<大腿四頭筋の走行図>
大腿四頭筋の一つ、大腿直筋の起始部は下前腸骨棘に付着しているため、その下前腸骨棘と脛骨粗面をお互い引っ張ったとしたら、膝蓋骨は外側へはじき出されるような構造をそもそもしていました。
<大腿直筋の牽引と膝蓋骨の牽引図>
ということは、大腿骨に対して下腿を外旋するというのは、もともとの構造よりも、さらに膝蓋骨は外側へ引っ張られることになります。ようは、くの字がより強調されるという事です。
<大腿骨に対して下腿外旋による膝蓋骨の牽引>
膝蓋骨というのは、決められたレールの上を本来動くようになっています。
このレールから長い年月はみ出していると、それがPF関節(膝蓋大腿関節)での変形を引き起こしたりする一つの要因になります。
さらには、膝蓋骨はレールから脱線しながら動くことになりますから、どうしても無理がかかり動きが悪くなるなんてこともあります。
言い方を変えれば、動くと痛みにつながるので固めてあまり動かないように体は無意識にしているかもしれません。
よく、「膝蓋骨が動いていない」という表現があります。
それは例えばメスをいれたり、ひどい擦り傷などのせいで、瘢痕組織による硬さで動いていない場合も確かにありますが、そうでなければ、もし動いていないからといって、動くように治療しても、根本の原因である、例えば「大腿骨に対して下腿が外旋している」が改善されていない限り、痛みがつよくなることだってあります。
そりゃ、根本のレールを曲がらせてる犯人を先に見つけた方が、事件は解決するにきまってます。
その診方ですが、立っていてもベッドで仰臥位に寝ていてもいいのですが、大腿骨の内側外側顆に対して、脛骨粗面がどこにあるのか?を診るようにしたら一つの指標となっていいと思います。簡単に言うと、正三角形のようになるのが普通で、それが崩れていれば、大腿骨に対して脛骨は外旋・内旋しているとなるわけです。
〈指標の三角形〉
そうなると、本来その正三角形のような形の中心に膝蓋骨はいるはずなのに、いないことになります。大腿骨に対して下腿が外旋していれば、膝蓋骨は外に。内旋していれば、内にいるはずです。
〈下腿内旋位での膝蓋骨〉 〈下腿外旋位での膝蓋骨〉
そして、大腿骨に対しての脛骨の回旋がわかると、もし膝蓋骨周囲の痛みを訴えている患者さんがいらして、「膝蓋骨があまりに動いていないから、それが原因ですね」といって、動くように柔らかくして膝蓋骨が動くようになったのに、「痛みが引かないどうしよう・・・」なんて悩みがなくなるかもしれません。
動かない膝蓋骨をどうにかしたいのではなく、「なぜ膝蓋骨の動きが悪い状態なのか」を
つきとめる考え方をしたほうがいいかもしれません。
それが今回の例えば大腿骨に対して下腿がどうなっているかがヒントになると思います。
さらにさらに、脛骨は距骨と連動していました。
距骨との連動はこちら↓
距骨下関節の基礎
今回話している、下腿の外旋。
これは距骨下関節を回外させます。
もしかしたら内反捻挫しやすい患者さん。大腿骨に対して脛骨は外旋しているかもしれませんね。
そんなことにも、膝関節のアライメントと膝蓋骨のアライメントを診る力は役に立つという事です。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛