【足底腱膜炎とswayback姿勢について】
【足底腱膜炎とswayback姿勢について】
アスリートあるいは一般の方にも多くみられる踵の痛みに足底腱膜炎があります。
痛みの訴え方は様々で、「朝起きた時の一歩目が痛い」や「歩いていたら痛みが増してくる」、
「筋肉がピーンと張ったような感じ」などと表現される方もいます。
足底腱膜炎とは、足底腱膜に繰り返し加わる牽引力によっておこる足底腱膜の炎症です。
しかし、炎症といっても腫脹・熱感・発赤などの炎症症状がみられることはあまりありません。
足底腱膜炎の原因として、
・歩行やランニング、長時間の立位姿勢保持、靴など外的要因によるもの
・加齢や肥満、足部の柔軟性の低下、背屈制限など内的要因によるもの
などが考えられます。
足底腱膜は、踵骨内側結節から中足骨頭の方向にのびる厚い浅在性の膜で、
足底部の縦アーチを構成する重要な働きがあります。
また、足底筋膜炎は偏平足障害の一つとしても捉えられています。
偏平足とは、足部を内側(母指側)から見ると、距骨より舟状骨が上にある状態のことです。
土踏まずが潰れているからといって内側縦アーチを上げればOK!というわけではなく、
足部のアライメントを細かく評価していく必要があると思います。
足底部の機能…トラス機構・ウィンドラス機構についてはこちら
最初に、足底腱膜にかかる負荷として運動学的に2種類に分けると
- 牽引ストレス …ハイアーチ傾向
距腿関節の背屈制限により、Heel offが早期傾向
膝関節が屈曲傾向になる。
- 圧迫(伸張)ストレス …偏平足傾向
距腿関節の背屈不良に対して、ST関節回内代償
膝関節が伸展傾向になる。
足圧中心が踵骨部に停滞する。→後方重心となる。
次に、主な疼痛部位です。
(図)足底腱膜炎の疼痛部位
- 足底腱膜中央~遠位部
- 踵骨底部腱膜付着部のやや内側部
上記でも記載しているように、圧迫(伸張)ストレスによっておこる足底腱膜炎の痛みは
偏平足傾向(内側縦アーチの低下)の方が多い印象です。
(図)立脚中期(Mts)
その際の歩行の特徴として、距腿関節の背屈制限に対してST関節を回内させ代償しています。
そのため、体重が前方に乗りにくく踵骨部への圧が大きくなり、Heel offが遅くなります。
※Heel off(ヒールオフ)…踵が地面から離れること。
◎一般的な足部アライメント◎
回内足 |
|
回外足 |
内旋・前傾 |
下腿 |
外旋・後傾 |
回内 |
ST関節 |
回外 |
内旋・底屈 |
距骨 |
外旋・背屈 |
外転・回外 |
MT関節 |
内転・回内 |
背屈 |
リスフラン関節 |
底屈 |
回内足の方が、距腿関節の背屈が入りやすいため
距骨に対して下腿を内旋、下腿に対して距骨を外旋させることが必要なのです。
◎骨盤の前方回旋◎
足底筋膜炎は、踏み出し脚側に症状が出やすくなります。
骨盤の前方回旋は、
大腿内転・内旋→下腿外旋→ST関節回外→MT内転→リスフラン関節底屈の運動連鎖となります。
下腿の外旋、外方傾斜により距腿関節の背屈制限がつくられます。
踏み出し脚は蹴り出し脚と比べて、上半身質量の位置が足部と遠くなり、
ヒールコンタクトでの衝撃が強く、それにより、圧迫ストレスの負荷が高くなります。
また、後方重心によって底屈筋群の活動低下がみられ蹴り出す力が弱くなります。
※骨盤挙上側が患側である場合、患側足部の回内傾向に対して患部のみのアーチアップは
より骨盤を挙上させることになるので、注意する必要があります。
◎swayback姿勢◎
基本的には骨盤に対して胸郭が後ろに倒れる姿勢(上位胸郭の後方変位)のことです。
骨盤に対して胸郭が後ろにあると、身体重心が後方へ傾きます。
つまり、後足部荷重の常態化になります。
後足部荷重になると、
骨盤後傾位→大腿内旋位→下腿外旋位→距骨外旋・背屈位→ST関節回外位→MT関節内転・回内位→リスフラン関節底屈位の運動連鎖で、背屈制限を引き起こします。
つまり、足部アライメントの修正による背屈可動域の獲得はもちろん、
swayback姿勢によって引き起こされる骨盤外方swayや下腿の外旋・外方傾斜を取り除き
下肢全体の背屈軸の再構築、
上半身質量の後方変位へのアプローチも視野に入れておくことが大切です。
「木も見て森も見る。」
症状が長引く、改善があまりみられない際は、足部だけに集中するのではなく
全体をしっかり評価しアプローチすることが大切です。
スポーツラボ鍼整骨院 滝ノ水
【柔道整復師】
石本 楓華 (いしもと ふうか)