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足部のアライメント

【足関節捻挫の受傷機転とメカニズム】

【足関節捻挫の受傷機転とメカニズム】

今回は足関節捻挫の受傷機転とメカニズムについてお話ししていきます。

以前のコラム『初回足関節捻挫とアスリハ』も合わせてご覧ください。

『初回足関節捻挫とアスリハ』

 

足関節捻挫は、発生頻度が高く、再発が多い外傷の1つです。スポーツ外傷全体に占める発症率は約15%にも上ると言われています。

スポーツ現場や、治療院でも多く見られるのではないでしょうか。

そして、その中でも多いのが内反捻挫です。

まずはその理由についてです。

外果は内果よりも10㎜程度長いため、側方の安定性は外果の方が高い。しかし、立位時の重心は内方に通過するため荷重ストレスは内方の方が大きくなる。そのため、内側側副靭帯が発達し安定性を高めています。

外側の側方安定性は骨に依存しているため、外側側副靭帯は内側よりも脆弱となっていることが原因のひとつだと考えられます。

外側にある主な靭帯の前距腓靭帯(ATFL)は、最も破断しやすく、前脛腓靭帯は前距腓靭帯の約2倍以上の破断強度があると言われています。

 

前距腓靭帯

関節包と一体となっている関節包靭帯で幅約8㎜、長さ20㎜、厚さ2㎜

この靭帯は様々なバリエーションがあり、1本が38%、2本が50%、3本が12%という報告もあります。

 

そしてその前距腓靭帯は、距腿関節底背屈の際に運動軸の前方を通るため、底屈で緊張し、背屈で弛緩するということになります。つまり、底屈位での内反を制限しています。

距骨滑車は、前面の方が広く扇状になっているため、背屈位で側方安定性が高まり、底屈位で低くなります。そのため、外側の側副靭帯は底屈位で受傷することが多いですね。

そして、底屈位で安定性を高めるために緊張している前距腓靭帯は、解剖学的にも脆弱なので、圧倒的に前距腓靭帯の損傷が多いことになります。

 

そして、もう1つ前脛腓靭帯にも痛みが出ることが多いとと私自身が捻挫をされた患者さんを診たときに感じたのでこちらにも触れておきます。

脛腓間は前・後の靭帯で結合しているのと下腿の骨間膜でも結合されているため、あまり可動性はありません。

 

しかし、足関節が背屈する際には距骨が脛骨と腓骨の間に滑り込むために脛腓間は少し開きます。

底屈時には側方安定性を代償するように脛腓間は狭くなります。

脛腓靭帯は脛腓間の過剰な開きを止める役目があり、足関節の背屈で緊張します。

 

そうなると、前脛腓靭帯の損傷は足関節の背屈を強制されたときに生じやすいということになりますが、なぜ足関節内反捻挫では底屈位で生じてしまうのでしょうか。

 

内反捻挫をすると先ほど話したように、まず前距腓靭帯が損傷します。すると、腓骨を引っ張って止めていたもの(前距腓靭帯)がなくなるため、距骨の外側が腓骨を外側に押し出すように働き、脛腓間は離開してしまい、損傷します。

このような理由から前脛腓靭帯にも痛みが出ることがあるのだと考えられます。

そして、ここに痛みが出た場合、比較的痛みが長引くように感じます。

 

次は骨・関節の話をしていきましょう。

ここからが、ポイントです!!

足関節捻挫の際、距骨下関節は回外になります。

以前のコラムでもお話ししていますが、距骨下関節回外の動きをくだくと、踵骨の回外・距骨の外旋、背屈となります。

ここで間違えないようにしたいのは、足関節内反捻挫をすると、距骨って外旋、背屈するんですが、それは距骨下関節での動きです。

このとき、距腿関節は、距骨下関節回外時に相対的には内旋・底屈位となります。

距腿関節の軸が真横ではないので底屈時に内返しの動きになります。

そのため、脛骨・腓骨で構成されている距腿関節の凹面に対して距骨は内旋し、底屈します。

言い換えると、距骨下関節が回外するということは、距骨に対して下腿は後傾して、やや外旋するということです。

 

この軸のずれた状態のまま、固定をしてしまうとどうなるでしょう。

そうです。

足関節内反捻挫の後によく見られる足関節背屈制限。

これを固定の段階で作り上げてしまうことになります。

 

歩行動作における足関節背屈制限が与える影響についてはこちらをごらんください↓↓

https://arch-seminar.com/gaitanalysis//

 

背屈制限が起きてしまえば、患側の足は歩行時にうまく蹴り出すことができずに、骨盤は前方回旋になってしまうことがあるでしょう。

 

そうなると患側と同方向の片側性腰部痛、膝関節痛などを引き起こしてしまう可能性も出てきてしまいます。

 

そうならないためにも、急性期で来られた足関節内反捻挫のクライアント様にも軸を合わせることをしてあげてからの固定が大事だと考えています。

 

それをすることで、固定が外れたときの痛みや背屈制限は圧倒的に少なくなると実際に感じています。

もちろん固定を外した後に背屈制限を改善するために筋肉や軟部組のリリースも必要だし、患部外のアライメント修正も大事です。

 

ただ、その前にそれを防ぐためのことが出来たら、クライアント様にとって1日でも早く復帰できる近道になるのではないでしょうか。

 

 

 

増田 鮎美(ますだ あゆみ)【柔道整複師】

アーチ鍼灸整骨院/Aathlete Village

 

学生から社会人までのソフトボールの経験を生かし、柔道整複師として10年以上、施術やトレーニングの現場で活躍している。

 

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