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膝関節のアライメント

関節包内運動『凹凸の法則』ついての考察

【その関節、正常に動いていますか?】

人の体には諸説ありますが、約260個の関節があると言われています。

その関節を動かすことで

歩いたり走ったり、立ったり座ったり、投げたり蹴ったりと

私たちが日常生活を送るうえで

ありとあらゆる動作が可能になっています。

 

もし肩関節が正常に動かなかったら

もし膝関節が正常に動かなかったら

他の関節が代わりに動くしかありません。

結果的に、

モビリティスタビリティの関係性が破綻し

何かしらの代償運動となって痛みが出現する可能性があります。

 

姿勢・歩行同様に身体のアライメントを評価する前段階として

痛みのある関節の解剖学や

構造的にどのような状態が正常なのかを理解したうえで評価することが

治療の方向性を決める上で大切なことだと思います。

 

モビリティ・スタビリティの関係性はこちら

 

今回は関節の動きについて掘り下げていきたいと思います。

 

 

まずは、簡単に関節の解剖学からお話しします。

 

関節とは

相対する2つあるいはそれ以上の骨を連結する構造体をいいます。

関節は 凹面をなす関節窩と凸面をなす関節頭 からなっていて

両関節面は関節軟骨でおおわれています。

ちなみにご存じかと思いますが

軟骨には神経や血管は存在していないので

軟骨がぶつかったり剥がれても軟骨自体は痛くはありません。

そして連結部は関節包という袋に包まれ

その袋の中で両骨間は関節腔という間隙が作られます。

関節包は内層の滑膜と外層の線維膜からなり

滑膜からは滑液(関節液)が分泌され

関節運動を滑らかにするとともに関節軟骨を栄養します。

一方、線維膜は強い結合組織からなり、関節包を強化します。

そして、この袋の中で関節は動きます。

 

要するに 凹と凸の骨 があって

堅いもの同士が直接触れあうとすり減ってしまうので

軟骨という滑らかな層でおおわれている。

さらに関節包という袋で包まれていて

潤滑油のような滑液が分泌され

自由に関節を動かすことができるということです。

 

 

次に関節の動き・運動についてです。

骨運動 と 関節包内運動 を整理します。

 

骨運動とは「随意」的に動かすことができる生理的な運動のことです。

例えば肘や膝の屈曲伸展のように目に見える運動で

自分の意思によって自由に動かすことができます。

 

関節包内運動とは「不随意」的に骨運動で生じる運動のことです。

自分の意思とは無関係に起こる、いわゆる転がりとすべりなどをいいます。

副運動であり、本人が自動的に行うことはできません。

 

その「転がり」「すべり」の他に「軸回旋」の運動があります。

 

転がり運動(rolling)

回転する関節面上にある多数の点がもう一方の関節面上の多数の点と接触します。

イメージとしては、道路上を回転するタイヤです。

 

すべり運動(slide)

関節面上の1つの点がもう一方の関節面上の多数の点と接触します。

イメージとしては、凍結した道路上をすべる回転していないタイヤです。

 

軸回旋運動(spin)

関節面上の1つの点がもう一方の関節面上の1つの点上で回転します。

イメージとしては、溝にハマったまま回転するコマです。

(タイヤじゃなくてすみません。)

 

 

ここまで整理したうえで、やっときました。

 

『凹凸の法則』。

 

ご存じの先生も多いと思います。

文字通り凹はへこんでいて、凸はとつ、凹凸(おうとつ)です。

でこぼこは凸凹です。

 

「凹凸の法則」とは、先ほどの骨運動と関節面の運動との間に起こる法則のことです。

凹は関節窩で凸は関節頭でした。

下図は膝関節で表現させていただきます。(膝蓋骨は気にしないでください)

凹は脛骨で凸は大腿骨になります。

 

凹の法則

凸側を固定して凹側を動かす。

動く側の関節面が凹の場合は、すべりは骨運動と同じ方向に生じる。

 

凸の法則

凹側を固定して凸側を動かす。

動く側の関節面が凸の場合は、すべりは骨運動と反対の方向に生じる。

 

 

想像しやすい部位で言えば

 

肩関節の外転時は

凸の法則でいえば

肩甲骨(凹側)上腕骨(凸側)になり

骨運動は上方向ですが上腕骨頭は下方向にすべるということになります。

 

膝関節の屈曲時は

凹の法則でいえば

脛骨(凹側)大腿骨(凸側)になり

骨運動は下方向で脛骨も下方向にすべるということになります。

実際はスクリューホームムーブメントも起こるので

伸展時に下腿は外旋し、屈曲時に内旋します。

 

足関節の背屈時は

もうお分かりですね。

 

凸の法則を利用して

遠位脛腓関節(凹側)距骨(凸側)で

骨運動は背屈方向で距骨は後方へすべり、ほぞ穴にハマります。

 

 

もしすべり運動が起こらなければどうでしょうか。

 

骨運動で随意的に動かしても、副運動の低下で関節の可動域が制限されている場合

すべりが減り、転がりっぱなしになるので、関節面が圧迫されます。

関節面同士がぶつかり合い

軟骨が損傷してしまうかもしれません。

脱臼もするかもしれません。

インピンジメントなどのケガにもつながると思います。

 

 

正常な副運動を阻害しているのは

関節包外の問題なのか。

それとも関節包内の問題なのか。

 

目に見えない関節包内運動なので

解剖学の知識以上に患部を触って感じるということが非常に大事だと思います。

 

「凹凸の法則」はご存じの先生も多いとは思いますが

このサイトのアライメントの評価や歩行分析・動作分析の知識にプラスしていただき

少しでも先生方の考え方の引き出しを増やせたらと思います。

 

 

目に見えない部分だからこそ

患者さんの表情や会話を大事にし

どのように感じるかということも大切にしたいですね。

 

 

伊藤 進(いとう すすむ)【柔道整復師】

スポーツラボ鍼整骨院 滝ノ水 

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