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上半身・胸郭のアライメント

頸部から起こるSway-back姿勢

【頸部から起こるSway-back姿勢】

 

今回は、Sway-back を骨盤からではなく上半身に着目して診ていきます。

 

それも頸部から診たSway-backについて説明していきます。

 

Sway-back姿勢は3つに分けられます

 

  1. 骨盤が後傾して殿筋が短縮することで起こるSway-back
  2. 前胸部が短縮して起こるSway-back
  3. 頸部からの影響で起こるSway-back

 

②と③は 胸郭もしく上位胸郭の後方偏位が大きなポイントになってきます。

 

 

Sway-backの方の治療をするにあたって、骨盤からアプローチすることが多いのではないでしょうか。

 

 

治療としては、痛みの期間が長ければ長いほど骨盤後傾位の長期的な固定で、殿筋の組織を短縮させていることが多いので、

短縮しているであろう大殿筋下部のリリース・ストレッチ、股関節前面の浅筋膜をリリースします。

 

そして、ここで骨盤の前方回旋側を見抜く必要があります。

前方回旋側は何が起きやすいのか?

1.片側性腰痛

2片側性の膝痛(伸展機構障害)

3.股関節前面痛

4.大腿四頭筋の疲労感

 (学生なら、オスグット・ジャンパー膝などのスポーツ障害のリスクが高まります)

これらの症状が起きやすいので前方回旋を見抜く必要はあると思います。

 

前方回旋の評価は、左右のASISとPSISを両手で把持して

自分の左右の手のいったいどちらが前にあって、どちらが後ろにあるのか、がポイントになります。

 

例えば右が前にある場合、右が「骨盤前方回旋」となります。
反対に、後方にある場合、「骨盤後方回旋」となります。

 

その前方回旋側の骨盤はSway-back姿勢の場合後傾していることが多いのでその前方側を特に狙った

スクワットによる遠心性制御で大殿筋を効かせて骨盤を前傾にすることで痛みの緩和を狙う。

 

この治療で痛みが緩和すればいいですが、その時改善していても痛みが戻る人、

姿勢の変化が現れない場合は前胸部をアプローチするでしょう。

前胸部は何を見るのか?

 

胸郭の後方偏位をみることが大事です

 

骨盤に対して胸郭は後方偏位

下位胸郭に対して上位胸郭は後方偏位ととらえます。

 

下位胸郭に対して上位胸郭の後方偏位は小胸筋や大胸筋、上方の前鋸筋を短縮位にします。

 

だから、

前鋸筋・大胸筋・小胸筋のリリース・ストレッチでダンベルフライ(ベンチプレス)などの

前胸部を治療して変化する方は胸郭の後方偏位からくるSway-back姿勢が原因だと断定できます。

 

ただし、それでも痛みがある場合があります

その時に見るポイントがあります。

 

最初にもお伝えした頸部から起きるSway-back姿勢です。

 

 

Sway-back姿勢は頸部に関しては、

上位頸椎は過伸展位

下位頸椎は生理的前弯より屈曲位、上位頸椎よりも相対的に屈曲位となります。

 

この場合短縮している部位は

後頭下筋群であり、下位頸椎の短縮筋は胸鎖乳突筋が主に働いています

胸鎖乳突筋の作用

 「左右の筋肉が収縮すると顎を軽く上方に上げつつ後頭を前方に引く」

 

 

この筋肉の短縮をとらなければ、頸椎からくるSway-back姿勢は改善しません

この、胸鎖乳突筋をキレイにリリースするためには、

周囲についている筋肉を剥がす必要があります。

 

左図の青いのが広頚筋     右図の青いのは大胸筋

 

広頚筋は、大胸筋および三角巾上部を覆っている筋膜この筋肉の下に胸鎖乳突筋が走行しているので

広頚筋と関わりがある大胸筋の短縮が起きた場合、起始部で繋がっているこの筋肉も

滑走不全が起きていてもおかしくありません。

 

もう一つ、

頭板状筋も、胸鎖乳突筋の滑走を出す為には重要な筋肉だと考えています。

この筋肉も、起始部と停止部が同じなので

乳様突起のリリースをする場合に、イメージしておくとより胸鎖乳突筋の滑走が出るでしょう!

 

この他にも

胸骨舌骨筋などののどにある筋肉なんかも関連していると言われていますが、

 まずは上記の筋肉に対するアプローチを行うといいと思います。

 

それと、もう一つ側屈を診ます

 

 

 

例えば、頸椎右側屈しているとします。

この時右の頸板状筋が短縮していたとします。

頸板状筋は同側の回旋・同側の側屈・伸展をします。

 

そうなると、

体幹に対して頸部が動くのでなくて、

 

 

頸部に対して体幹が左後方へ回旋する

 

 

とも考えることができるので、この筋のせいで左の上位胸郭が後方へ引ける場合もあるというイメージを持つことが大切です。

この場合は右の頸板状筋の短縮によって上位胸郭が左後方偏位が起きているので、前胸部の改善でも変化が出ない場合にはこのような筋を狙うのもありかもしれません。

 

この筋肉をリリースするためにも、胸鎖乳突筋が重要になってきます。

胸鎖乳突筋は頸板状筋を覆っていますし、単独で作用する場合側屈させるので、やはりこの筋肉は

頸部からアプローチする場合にはかなり重要な筋肉と言えますね。

 

 

骨盤周囲のアプローチで殿筋群や、前胸部の治療をしても改善しない場合は、

矢状面上での頸部に対する胸郭の後方偏位、

水平面上での片方の上位胸郭の後方偏位を診てSway-back姿勢の治療へのアプローチもできると思います。

 

中田 徹(なかた とおる)【鍼灸師】

スポーツラボ鍼整骨院

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