【日常動作とスクワットの関係性】
【日常動作とスクワットの関係性】
今回は、日常生活とスクワットの関係性についてお話ししたいと思います。
先生方が臨床でみられている患者さんに何をして痛みが出たのかと聞くと
「下にあった荷物を持ち上げようとしたら腰に痛みが出て…」
「何かしたわけじゃないのにだんだん膝の痛みが出てきたんです…」
など、このようなことをよく耳にするのではないでしょうか。
臨床の場ではもちろん、家族や友人など日常生活の中でもその言葉を聞く機会は多いと思います。
ですが、
・人によって痛みが出る人と出ない人がいる
・同じ人でも動作や体勢によって痛みが出る時と出ない時がある
痛みが出る、出ないには何が関係するのか…
これには姿勢や動作に問題がある場合が多く考えられます。
今回は、膝や腰の痛みを抱えている方に多くみられるswayback姿勢が、どのように影響を与えているのかについてお話させていただきます。
swayback姿勢とは、、、、、
頭部:前方変位
胸椎:後方変位
骨盤:後傾、前方変位
のような状態になっている姿勢を言います。
swaybackの動作の特徴として
①前屈時に股関節屈曲が乏しく、腰椎(特に上位腰椎)や胸椎の屈曲で代償
②スクワット動作で骨盤が後傾しやすく(股関節屈曲不足)、膝関節屈曲が優位になる。
といったことが起こります。
swayback姿勢の方は後方重心になっていることが多く、上位腰椎が屈曲が大きい分、下位腰椎の過伸展が起きてしまいます。
身体重心後方化によって、外部股関節伸展モーメントが生じるため、内部股関節屈曲モーメントで制御することになります。
つまり、股関節伸展に関わるような大殿筋やハムストリングスは短縮傾向となり、骨盤が後傾、股関節伸展位となることで、大腿前面が過緊張状態になるため、股関節の屈曲時に前方がつまるといった屈曲可動域制限が生じると考えられます。その結果、隣接する腰椎や膝関節への負担が増加し、痛みが出てしまう場合があります。
このようなアライメントで、下にある荷物を持つ動作などを行うと当然腰(下位腰椎)や膝関節(大腿前面)に負担がかかります。
この負担を軽減するために、その動作に近いスクワットの動きの中で、腰椎伸展代償やや膝関節優位のスクワットではなく、股関節屈曲運動を意識したスクワットを行うことで、痛みが誘発しやすい動作パターンの改善を行っていきます。
スクワットを行う際に股関節を屈曲させ前足部に荷重をかけていくと、姿勢制御を行うために内部股関節伸展モーメントが働き、大殿筋下部の遠心性収縮が生じます。
大殿筋下部が遠心性収縮をすることで、骨盤を前傾位に保てるようになるため、swayback姿勢の方の姿勢改善や痛みの原因アライメントを改善することができるのです。つまり、このやり方での『スクワット動作』は非常に有効になります。
ということで、
痛みのある患者さんが本当に骨盤が後傾しているのか、swayback姿勢かどうか評価してみましょう。
そのテスト方法として、
①前屈動作
②片脚立位
の2つを行います。
前屈動作では前屈時に股関節が屈曲しているか(骨盤が後傾しすぎていないか)、胸椎や腰椎の屈曲が過剰でないかどうかを評価します。
左:骨盤が前傾し股関節の屈曲が上手くできる状態
右:骨盤が後傾し胸椎と腰椎の屈曲で代償している状態

片脚立位では片足立ちで後方重心になっていないか、または骨盤が後傾していないかを評価します。
左:骨盤前傾位の正常なアライメント
右:骨盤が後傾し後方重心になっている状態

これらの評価をした際にswayback姿勢の方は前屈動作、片足立位ともに比較画像の右側の状態になっていることが多いです。
swayback姿勢の方は骨盤が後傾しているため腰椎屈曲での動作となりやすく、骨盤前傾位での正常な股関節の屈曲が出来ていないことが多いです。
その結果、下にある荷物を取ろうとした際に股関節よりも腰椎の屈曲が強まってしまい痛みが出てしまうのです。
そこでまず、骨盤前傾位をしっかりととれるようにして、内部股関節伸展モーメントを高める狙いで
〈ヒップリフトエクササイズ〉を行います。
ヒップリフトは臀筋とハムストリングの遠心性収縮の制御と骨盤の前傾位保持機能(股関節屈曲機能)改善を目的としています。
そのため、エクササイズ後には股関節屈曲ROMが改善し、スクワット時に股関節の屈曲運動が優位にできるようになります。

そして、次にスクワットを行うのですが、
swayback姿勢の改善目的のスクワットでは、内部股関節伸展モーメントを高めることで大臀筋下部にアプローチをする必要があります。
実際にスクワットを指導する時のポイントです。
① 肩幅に足を開く
② 股関節を屈曲していく
③ 重心を前に持っていく
④坐骨結節(下の画像の赤丸)付近にストレッチ感のような負荷を感じたら足裏全体で床を押す様にして上体を起こす。
この②から④の動作を繰り返し行ってください。

もし、スクワットで骨盤前傾(股関節屈曲)運動がうまくできない場合は
・股関節の周りにある外旋筋群が硬い
・大臀筋下部と外側広筋の交差部で滑走不全(癒着)が生じている
・大腿筋膜張筋などの股関節の前面にある筋肉の滑走が悪い
などの理由が挙げられます。
その場合は大臀筋や外旋筋群のリリースを行う事で、股関節屈曲時の関節の転がりと滑りがうまく出るため股関節の屈曲可動域が改善し、スクワットの際に大臀筋下部に収縮が入るようになります。
今回は、日常動作での腰や膝の痛みのある人へのアプローチの方法を紹介させていただきました。
また、日常動作以外にもスポーツ中や仕事中の膝や腰の痛みの根本的な理由を、身体の使い方、動きの癖から分析する事は、痛みの改善を図るには、非常に有効な手段と言えます。
今回紹介した評価方法で膝や腰に痛みが出ている根本的な理由を見つけ、動きの癖を改善する運動療法を行い痛みを無くしていきましょう。
アスリート鍼灸整骨院瀬名川
木下智貴【柔道整復師】



