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【関節モーメントと姿勢の関係性】

関節モーメントと姿勢

 

今回は、関節モーメントと姿勢の関係についてお話します。

 

動作分析と治療を行う上で基礎となり、とても重要な箇所になってきます。

 

歩きや走りなど人の動きによる痛みには、

基本的な関節運動だけでなく力学的な要因が加わっています。

 

痛みの原因を考える際に、どのような力学的ストレスがかかっているかを

考えながら治療を進めてみてください。

 

まず初めに、関節モーメントとは…「関節を回転させる力」のことです。

 

計算式としては

「モーメント(M)=力(N)×距離(m)」と表記されます。

 

 

そして、関節におけるモーメントは、1つではありません。

 

・重力や床反力といった外力が関節を回転させようとする場合、その力を

「外部関節モーメント」と表現します。

一方、

・筋力や靭帯・皮膚など身体内で発生する力(=内力)が関節を回転させようとする場合、その力を

「内部関節モーメント」と表現します。

このように関節モーメントはの二種類あるとされています。

 

これらの2つの関節モーメントの関係を理解する簡単な例としては、

 

外力(外部関節モーメント)によって、身体が倒れそうな場合、身体内で力(内部関節モーメント)を発生させて、倒れないように制御するとき

 

また、ダンベルでアームカールをする場合を例にとると、

肘屈曲位からゆっくり肘を伸展していく場合、ダンベルの重さが肘を伸展させようとする(外部肘関節伸展モーメント)のに対して、

上腕二頭筋などの肘関節屈筋(内部肘関節屈曲モーメント)で肘が伸展するのを制御する(ゆっくり肘が伸展していく)ということがあります。

このとき、外部肘関節伸展モーメント>内部肘関節屈曲モーメントと表現でき、この場合の筋の収縮形態は、『遠心性収縮』だということがわかります。

 

逆に、肘伸展位から肘屈曲する場合は、ダンベルの重さ(外部肘関節伸展モーメント)よりも、肘関節屈筋が大きく力を発揮する(内部肘関節屈曲モーメント)ことになります。

つまり、外部肘関節伸展モーメント<内部肘関節屈曲モーメントと表現でき、この場合の収縮形態は、『求心性収縮』だということがわかります。

 

まとめると

・外部関節モーメント「重力・床反力」といった外力で関節が回転する

・内部関節モーメント  「筋・靭帯・皮膚などの張力」、内力で関節が回転する

その両者の大小関係から、

・外部>内部 =遠心性収縮

・外部<内部 =求心性収縮

 

というように、運動・動作を観察することで、身体にどのような負荷がかかり、身体内でどのような力を発生させているか、

予測することが可能になります。

この予測をもとに、治療アプローチを検討することは、臨床上、非常に重要になるかと思いますし、困った時にはここの立ち返ると多くのヒントが得られるのではないでしょうか?

 

 

そして、この2つの関節モーメントの関係を考える上で、特に外部関節モーメント・外力を考える上で大切になってくるのが「身体重心」です。

身体重心は、身体に加わる『重力』の代表点といえますし、『床反力』は、重力が地面に作用することで発生する反力であり、床反力は身体重心に向かって作用すると考えますので、身体重心を把握することは、外部関節モーメントを考える上で、非常に重要なことと言えます。

 

では、身体重心はどのように把握すればよいかというと

上半身質量中心と②下半身質量中心を結んだ中点を想定することで、、身体重心が把握できるとされています。

 

①上半身質量中心ー剣状突起~Th7レベルの位置

②下半身質量中心ー大腿骨の1/2の位置

③身体重心

 

 

 

 

 

 

では、臨床場面や現場での関節モーメントといった力学的視点の考え方をどう使ったらよいのでしょうか?

 

 

実例としてスポーツの観点に着目します。

バスケ・バレーなどのジャンプスポーツに多い「跳躍前・着地時」に生じる膝痛について、膝関節屈曲優位になる場合の関節モーメントを考えてみましょう。

膝痛が前面である場合は、一般的に矢状面運動のトラブルとして、矢状面を観察していきます。

 

・身体重心−黄の丸

・重力–青の矢印

・外部モーメント−赤い矢印

・内部モーメント−緑の矢印

 

 

 

 

①   上半身質量中心と下半身質量中心から身体重心の位置を確認します

②   膝関節の中心と身体重心の位置関係を確認し、外部関節モーメント(重力)が、膝関節をどう動かすのかを確認します。

③   重力は青矢印のようにかかるため、この場合外部膝関節屈曲モーメントにより膝を屈曲させる力が働きます

④   膝関節の屈曲を止める為に内部膝関節伸展モーメントである大腿四頭筋が働きます

 

この内部膝関節伸展モーメントが過剰になると、大腿四頭筋が優位に使われてしまい、

大腿四頭筋の過活動により膝前面の痛みやオスグッド病などに繋がってしまう場合があります。

 

こういった選手の動作の特徴としては、股関節の屈曲の可動域が少なく、体幹が起き上がってしまうような動きが見られます。

 

ここで面白いのは、同じスクワット動作でも、

股関節の屈曲が大きいと、膝関節の屈曲が少なくなり、

股関節の屈曲が小さいと、膝関節の屈曲が大きくなるという関係が見られ、

それぞれ、内部関節モーメントも

内部股関節伸展モーメントが大きいスクワット動作では、内部膝関節伸展モーメントが少なくなる、

内部股関節伸展モーメントが小さいスクワット動作では、内部膝関節伸展モーメントが大きくなる、

ということになります。

これによって、膝関節前面痛には、股関節(屈曲)の動きが重要だということがよくわかりますね。

 

 

オスグットのコラムはこちらをご参照ください。

【Sway back 姿勢とオスグッド・シュラッター病の関係】

 

 

次に、歩行動作を例にして、関節モーメントの観点から痛みが出やすい場所を推測していきます。

 

歩行時の関節モーメントについてはこちらをご参照ください。

【歩行・動作分析の考え方のポイント! 『関節モーメントとは?』】

 

・身体重心−黄の丸  

・重力–青の矢印

・外部モーメント−赤い矢印

・内部モーメント−緑の矢印  

・関節−水色の四角

 

 

 

膝痛や股関節痛で、上半身の質量が患側の股関節や膝関節よりも外側に乗りやすい場合、前額面での動きを考えてみます。

この場合、外部股関節外転モーメントに対して内部股関節内転モーメント(内転筋群)が働きます。

これらから歩行時にこのような動作、アライメントが見られれば、内転筋群過剰使用により付着部に痛みが発生したり、

同側の内転筋の肉離れを繰り返してしまうといったことが予測できます。

一方で、体幹が健側へ変位している歩行動作です。いわゆる、支持脚の外方へのSwayやトレンデレンブルク歩行というものです。

・身体重心−黄の丸

・重力–青の矢印

・外部モーメント−赤い矢印  

・内部モーメント−緑の矢印 

・関節−水色の四角

 

 

 

この場合、外部股関節内転モーメントに対して、内部股関節外転モーメント(股関節外転筋群、腸脛靭帯)が働き、

大腿外側筋の過活動や大腿筋膜の牽引ストレスが生じることにより、臀部(外側)の痛みや大腿外側部のしびれ(大腿外側皮神経障害)を訴える場合があります。

 

また、膝に着目すると

外部膝関節内反モーメントに対して、内部膝関節外反モーメントが働いています。

内側膝OAの方では、この外部膝関節内反モーメントが膝の内反変形を助長させたり、痛みを出す原因になると指摘されています。

 

OAについてのコラムはこちら

【膝関節ラテラルスラストを上半身質量中心から考える】

【変形性膝関節症の降段動作では何が起こっている】

 

このように関節モーメントという力学的視点で痛みや痺れをの病態を考察することが有効な場合があります。

 

関節にかかる力学的ストレスを関節モーメントから推測しアプローチすることで

痛みの戻りや長期的に続いている症状を改善することが出来るかもしれません。

 

株式会社アーチ

静岡県袋井市大門17–5

アスリート鍼灸整骨院 袋井

 

 

 

 

 

 

 

 

【柔道整復師】       加藤真大

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