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歩行時の骨盤・股関節

『歩行動作に対しての内転筋の捉え方。』について。

【『歩行動作に対しての内転筋の捉え方。』について】

 

 

 

今回は、歩行動作の中での内転筋の捉え方についてお話しさせて頂きます。

内転筋。

 

内転筋,歩行

 

 

読んで字のごとく、股関節の内転に作用します。

大雑把によくまとめられますが、いわゆる内転筋と呼ばれるものには、

大内転筋、小内転筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋などがあります。

 

 

それぞれ、内転作用があるのはみなさんご存知のことかと思います。

 

 

では、この内転作用がある内転筋群。

 

 

どのように歩行に影響しているのか。

 

歩行分析についてはこちらをどうぞ↓

https://arch-seminar.com/first_gaitanalysis/

 

みなさんはご存知でしょうか?

 

 

 

歩行中の股関節の働きではよく、内転筋群よりも股関節外転筋群について語られている方が多いと思います。

 

 

みなさんのその知識を踏まえた上でみてもらえればと思います。

 

 

では、内転筋群についてお話させていただきます。

まず内転筋群は、大腿の中でも25%の筋断面積をしめております。

大腿の体積の割合は、

膝関節伸展筋群 約50%
膝関節屈曲筋群 約25%
股関節内転筋群 約25%

 

 

このようになっております。

そして、内転筋群は股関節の内転作用だけではなく

 

 

股関節屈曲位では、股関節伸展作用が

股関節伸展位では、股関節屈曲作用があります。

 

 

そのことからも、内転筋群は股関節の内転作用だけでなく股関節屈曲、伸展動作に少なからず影響していることがいえます。

 

よく教科書や参考書に記載されている作用は、

大内転筋
股関節における内転、外旋、伸展(腱性の付着部によって股関節の内旋)
前額面と矢状面での骨盤の安定

小内転筋
股関節内転、外旋、わずかな屈曲

長内転筋
股関節の内転、屈曲(70°まで)、伸展(屈曲80°以上の時)

短内転筋
股関節の内転、屈曲(70°まで)、伸展(屈曲80°以上の時)
前額面と矢状面での骨盤の安定

薄筋
股関節の内転、屈曲
膝関節の屈曲、内旋

恥骨筋

股関節の内転、外旋、屈曲

 

このようになっております。

 

今回は、その中でも長内転筋、短内転筋、大内転筋、薄筋の歩行にあたえる影響に注目していきたと思います。

 

先ほども書きましたが、

 

内転筋群は、股関節屈曲位では股関節伸展作用があり、股関節伸展位では股関節屈曲作用がある。

 

 

大内転筋後部(腱性部)は股関節屈曲0°、大内転筋前部(筋性部)は屈曲20°、薄筋30°、短内転筋および長内転筋は屈曲70°で伸展筋に変化すると言われております。

 

 

そして、全ての内転筋群で股関節伸展20°での屈曲トルクが増大するとも言われております。

 

要するに内転筋群は、股関節伸展位から屈曲作用を発揮するということになります。

 

 

歩行各相と用語についてはこちらをどうぞ↓

https://arch-seminar.com/vocabulary/

 

 

これは歩行で言うと、ターミナルスタンスからプレスイングに向かっていくところで内転筋群は前額面と矢状面での骨盤の安定だけでなく、股関節の屈曲筋としても作用しているということになります。

 

 

そして、股関節屈曲位から伸展作用で発揮される大内転筋、長内転筋は、歩行でいうとイニシャルコンタクトからローディングレスポンス、ミッドスタンスにかけて股関節の伸展筋として作用しているということになります。

 

 

ここから読み取れるのは、歩行動作中の骨盤前方回旋側の踏み出し脚増加などにも影響を与えているということになります。

 

 

要するに、内転筋群は骨盤を安定させながら歩行中の股関節の屈曲、伸展で作用するということなので、内転筋群とハムストリングスや大腿四頭筋との間などの癒着が強くなることによって、内転筋群の筋の働きは少なくなるということになります。

 

歩行中のみならず、筋肉の働きとして大切にしたいのは、いかにエキセントリックな状態でも作用しているかはひとつポイントかと思います。

ですが、内転筋群がハムストリングスや大腿四頭筋などとの間で癒着をしてしまうと内転筋群の最大伸長位をとることが難しくなります。

 

それだけではなく、内転筋群とハムストリングス、特に大内転筋とハムストリングスの癒着が強くなることにより、股関節伸展筋であるハムストリングスの動きまで低下してしまいます。

 

そのため、

もちろん、内転筋群と大腿四頭筋の間である、内側大腿筋間中隔の癒着が強くなることにより、股関節屈曲筋である大腿四頭筋の動きも低下してしまいます。

 

そのため、骨盤の前方回旋や後方回旋など、歩行へ大きな影響を与えることになります。

このセミナーでも、よくswayテストや大腿筋間中隔にも触れてきましたがこのような観点からもチェックをする必要性があると考えます。

 

 

各セミナーについてはこちらからどうぞ↓

https://arch-seminar.com/seminar/

 

 

 

 

そのため、アライメント評価や歩行評価はもちろん。

内転筋群をストレッチした時の伸長感はどうなのか。

 

股関節の伸展制限や屈曲制限はあるのか。

 

などなど、歩行だけではなく解剖学的に問題が出ていないかをチェックすることは必要になります。

 

歩行動作だけでなく、その人自身を評価するにあたりその方の症状や痛み、訴えを基に解剖学的な問題があるのか。

 

それとも歩行動作や、運動活動中の動作による運動学的要素が強いのか。

 

それらを評価、判断できるかどうかはとても大切になってきます。

 

そのような観点を踏まえた上で、歩行動作の評価や立位アライメント、静止アライメントの評価をすることでその方の本当の原因がみえてくるのではないかと考えます。

 

是非、歩行中の外転筋の働きだけではなく、内転筋群にも注目してみてみていただければまた新しい発見があるのではないかと思います。

 

 

アーチ鍼灸整骨院/Athlete  Village 浜松/ 中川 直紀【鍼灸師】

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