【基礎】胸郭の触診
【胸郭の診方 基礎】
胸郭は、胸骨と12対の肋骨、そして12個の胸椎からなります。
歩行評価でもお話ししましたが、胸郭は上位と下位に分けて話されることがあります。
よく言われる機能としては、
吸気の際に上位胸郭はポンプのように前面が上がり、膨らみます。
これをPump-Handle motionと言い、
これに対して下位胸郭は、左右にバケツの取っ手のように広がり、膨らみます。
これをBucket-Handle motionと言います。
これらの肋骨の動きの違いを知っているだけでも、呼吸を見るときに正常な動きができているかいないかの判断ができ、非常に臨床で役立ちます。
この役立て方は、また別でお話しします。
そして、上位胸郭、下位胸郭は歩行時に回旋が逆になると言われています。
これに関しては、歩行評価で話してありますので、そちらを参考にするとより理解が深まると思います。
こちらを参考にしてください→ 胸郭と歩行


では、まず非常に触りやすい下位胸郭を触りましょう。
肋骨は肋骨頭関節と肋横突関節の2つの関節が胸椎と関節をなしています。
そこから大きく弧を描き前面に向かう途中で肋骨角と言われるカーブによって方向を変えます。
この肋骨角がまずわかりやすい基準です。
肋骨角より内側(脊柱側)は、脊柱起立筋の膨隆が大きいのですが、骨を触れたいので、その膨隆をさけて肋骨角の外側に母指をあてます。中指・環指は肋軟骨がある前面を把持します。
この時、胸郭は丸形ではなく、前額面の前にラグビーボールを横向きに置いたような形だというのが分かると思います。
なので、非常に下位胸郭は触りやすいと思います。
この把持した下位胸郭を骨盤の時と同じようにどちらが前方にあるのか見極めます。
右が前方にあれば、下位胸郭は左回旋となります。
この時に、先ほどの骨盤と話をつなげてみましょう。
ポイント①の骨盤では、左回旋して、上半身の重心が残るSway-back姿勢になると、片側性腰痛の原因になるとお話ししました。これが、下位胸郭も前方に出て、左回旋していたとします。
ポイント①の骨盤はこちら→ 【基礎】骨盤の触診で回旋を見抜く

骨盤左回旋、下位胸郭左回旋です。
この回旋が2つの部位で合わさった時が、より片側性腰痛が著名に出やすい姿勢となります。

もし、骨盤は左回旋のままで、下位胸郭のみ回旋が反対だったとしたら?
これは、回旋を打ち消しあっている状態で、体の状態としては良い状態と言えます。
良い状態というのは具体的には痛みが出にくい状態、機能的に優れている状態、あるいは、筋力もある状態と言えるかもしれません。
もちろん、症状のある方もいらっしゃいますが、この「打ち消しあっているのか、いないのか、」を見極めていく上で、胸郭を評価するというのは非常に大切です。
下位胸郭の回旋を診て、骨盤の回旋と組み合わせることで片側性腰痛などの痛みの原因が分かってくるという事です。
胸郭を診ることの意味は、こんな理屈から考えてもとてもありますね。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛