脊柱のカップリングモーションと動きを考える
【カップリングモーションを知ると予測がつけられる】
カップリングモーション。
1905年にLovettが提唱したのをきっかけに、
そこからさまざまな研究がされている「脊柱の動き」を言います。
多くの文献や、ネット上では様々な考え方が言われています。
基本的にいわれている考え方をまずは書きます。
基本的な考え方は、側屈に伴い回旋が行われると考えた方がいいと思います。
それが、頸椎、胸椎、腰椎で回旋の方向が違うと言われています。
これを知ることで、患者さんに「では、体を横に倒してくださーい(側屈)」をやってもらうのに、
その動き方の違和感や、運動制限を見れば、
「ああ、この関節(頸椎・胸椎・腰椎)が動いていないんだな」が
わかるという、とても便利な知識です。
基本的に多くの方が言っていることをまとめてみます。
全て「脊柱を右側屈した場合」でお話しします。
頸椎:上位頸椎-後頭骨/第1頸椎・第1頸椎/第2頸椎
下位頸椎-第2頸椎/第3頸椎~第7頸椎
上位頸椎は、対側回旋
下位頸椎は、同側回旋 を伴います。
胸椎:すべて
胸椎は、同側回旋 を伴います。
腰椎:すべて
腰椎は、対側回旋 を伴います。
これを提唱している方もいます。
これだと、上位頸椎から下位頸椎に行くところでギャップが生まれ、下位頸椎から胸椎は同じ動き、そして胸椎と腰椎でギャップが生まれます。
C1/C2は環椎と軸椎で、その影響でギャップが生まれるのは処理できそうですが、胸椎と腰椎は少し強引かなと。
そのため、胸椎を上位胸椎と下位胸椎に分けて考えている方もおられます。
胸椎:上位胸椎-第1胸椎/第7胸椎
下位胸椎-第7胸椎/第12胸椎
上位胸椎は、同側回旋
下位胸椎は、対側回旋 を伴う。
そうすることで、下位胸椎と腰椎は同じ動き方をすることになります。
カップリングモーションはまだしっかりと解明できていないものです。
それは脊柱の生理的前弯の位置に個体差があるため、
みんなが同じ動きをするわけではないからだと考えています。
なので、
・カップリングモーションをは側屈時に椎体は回旋をするもの
・基本的な知識をもとに、その方のアライメントで動き方は変動することがある
と考えた方がいいのかなと思います。
では、その得た知識をどう使えばいいのでしょうか?
普段考えている、考え方をお伝えします。
僕はスポーツの現場や、スポーツをやっている選手を見させていただく機会が多く、
その際に、「動きにくさがないか」を考えます。
その「動きにくさ」を作り出している一つに、この脊柱のカップリングモーションを当てはめます。
例えば、野球の投球。
真上から、伸びのあるストレートを投げることができたピッチャー。
最近、何かボールが動く(まっすぐではなく、変化する)ようになった。
そんな時、まずは当てはめてみます。
野球の投球は、右投げなら左下肢、左上肢を固定して右の骨盤、右上肢を回旋しながら投げます。
この場合、脊柱の左回旋をしながら投げることになります。
左回旋という事は、とくに回旋量が必要な胸椎レベルが左側屈を伴いながら、投げることで
スムーズな動きになるという事です。
立位でアライメントを見たときに、胸椎がもし右側屈していたら?と考えます。
これは、セミナーで使用するスライドです。
細かく言うと、色々ありますが大まかに脊柱が右に側屈しています。
それは胸椎レベルで特に側屈しているのがわかると思います。
胸椎の右側屈は右回旋をしやすいのがカップリングモーションを
当てはめるとわかることでした。
このアライメントの方が、投げる際に
左回旋はしにくいことが想像できるという事です。
このように使います。
この知識を使い、この選手は本来下肢から体幹、そして手へと伝わるはずの力が、
体幹でスムーズな動きにならないので、手投げになってないかな?とイメージするという事です。
そして、それを「もしかして最近こうじゃない?」と脊柱のアライメントを見るだけで、
予測がつけられるようになるのが、カップリングモーションを知るという事です。
このカップリングモーションを使って、歩行も見ています。
その記事はこちらです↓
この知識をもとに、歩行を見ることで、一般の方の痛みの予測ができるようになります。
そして、同じ知識を使う事で、スポーツの動きを紐解くことができます。
自分で考えて、つなげられるかが、何よりも大切かもしれません。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
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