前鋸筋の短縮が一体どうなるのか?
【上半身が下半身まで影響を出す理由】
前鋸筋の短縮がどんな姿勢になるのでしょうか?
前鋸筋の作用は皆さんご存知のように、肩甲骨の外転の際に働きます。
そして僧帽筋とともに上方回旋も行う事でしょう。
これはあくまでも教科書のお話です。
じゃあ、例えば前鋸筋が短縮するとどんなことが起こりえるのかを話させていただきます。
右の前鋸筋が短縮したとしましょう。
胸郭に対して前鋸筋が短縮すると、肩甲骨は外転します。
その反対はどうでしょう?
肩甲骨が固定されて、前鋸筋が短縮したら?
胸郭が後方に変位します。
この時点で左の前鋸筋に短縮が無かったら、胸郭は回旋します。
そうです、胸郭の右回旋を起こします。
これは先ほど話したように、右胸郭が後方変位したためです。
次に、第1~第9肋骨にに着くといわれる前鋸筋は線維の走行が水平に近いですが、扇状に広がるため垂直方向に近い線維もあります。
これらが短縮したとしたらどうでしょう?
胸椎の側屈を起こす可能性があります。
そうなると、胸椎での右の側屈が起こります。
右胸郭後方変位+右側屈となります。
では、これが骨盤、下肢へどんな影響が出てくるのかをつなげていきたいと思います。
右の骨盤に対して後方変位した右胸郭、言い方を変えれば右胸郭に対して、右の骨盤は前方変位とも言えます。
これがSwayback姿勢です。
この場合、股関節の屈筋群が活動が増え、伸筋群の活動が減っていきます。
この時点で、殿筋群は活動しにくい状態というわけですから、IC~LRではショックアブソーバーとしての機能は果たしません。これは、床反力をみてもわかります。
床反力は身体重心に向かっていきますから、骨盤よりも胸郭が後ろにあれば股関節の後方を通りやすくなります。
そうなると、股関節は伸展しやすくなるため、それを防ごうと股関節屈筋が働きます。
次に、胸椎の右側屈。
そのままの側屈位であれば、上半身の重心位置は右になります。
そうなると、右足への荷重が強くなり、歩行時に右の外側へ乗りやすくなります。
多くの文献で紹介される、右の腹圧が抜けた状態ともいえるのではないでしょうか。
あれは確かに腹圧が抜けているのは間違いないですが、入るわけがない状態とも言えます。
こんなアライメントがどんどん完成されていきます。
そうなると、ここから考えられることは、股関節屈筋群が優位になることでの右膝伸展機構障害、右股関節痛、右足外側へ重心変化による第五中足骨への影響。そして、右足外側の筋筋膜性の痛み。胸椎右側屈による、頸部の左側屈の代償での障害などなど。
「先生右の膝がずっと痛くて」と来た場合に、右の前鋸筋と考えることができるかもしれません。
「先生、左の首の痛みが治らない・・」と来た場合にも、
「先生右の第5中足骨が・・・」。
あくまでも予測の話ですが、これは右の前鋸筋の短縮からどうなるかから考えた話です。
実際には一つの筋肉だけがどうかなるといったことはもちろん考えにくいのですが、こんな風に考えることもできますといった話です。
このサイトで様々なことを書いていますが、大切なのは一つの考え方と一つの答えではなく、一つの考え方とたくさんの答えとなるように、イメージすることが大切です。ある考え方をより深く理解すれば、応用ができるようになるという事です。
先生たちの何かにつながれば幸いです。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛