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膝関節のアライメント

【床反力による関節モーメントの考え方】

 

【動作分析においてそもそも関節モーメントって?】

今回は、セミナーや論文などでもよく耳にする関節モーメントについてお話します。

 

動作分析を行う上で最も重要といっても過言ではないですが、頭の中で整理しづらく、

苦戦しやすい内容なのでわかりやすく説明していきたいと思います。

初めての姿勢分析

 

まず、関節モーメントとは筋の張力などにより「関節を回転させる力(回転力、トルク)」のことです。

モーメント(M)=力(N)×距離(m)と表記します。

 

臨床的な観点から言うと「身体が倒れるのを耐える力(抗重力作用)」のことであり、

動作分析を行う場合は関節運動とは別にこの関節モーメントを考える必要があります。

 

 

次に、関節モーメントは2種類に分けられます。

 

外部関節モーメント

→主に重力、床反力(つまり体外の要素)

 

内部関節モーメント

筋の張力(つまり体内の要素)

 

 

重力による関節モーメントを考えるうえで重要となるのが、

身体重心COGcenter of gravity)です。

 

身体重心とは、身体に加わる重力の代表点のことで、

上半身質量中心と下半身質量中心を結んだ点です。

 

・上半身質量中心はおおよそ第7胸椎レベルの高さにあります。

前方から見ると“みぞおち”、後方から見ると“肩甲骨の下角”の付近とすればわかりやすいです。

 

・下半身質量中心はおおよそ大腿骨の1/2の高さにあります。

 

 

また、床反力が関節のどこを通っているのかというのも極めて大切なポイントとなります。

 

床反力とは、身体(主には足底部)と床の接触部分から生じている反力のことで、

上下方向・左右方向・前後方向への働きがあります。

 

例えば、テニスボールを地面に投げるとそれと同じ強さだけ上に跳ね返ってきますよね。

 

それと同じように、歩行時の踵接地(IC)時に床反力は踵→膝→股関節を通って身体重心へと戻ります。

床反力による背屈制限はこちら

 

 

本題の関節モーメントの話に戻ります。

例えば、矢状面上で重心線より膝が前に出ている写真があります。

→(膝関節より体幹が後方のため後方重心となります。)

 

この写真に、筋肉の付着がない状態を想像してみてください。

↓↓↓

 

筋肉で維持できないため重力により下に押し潰され、膝の屈曲角度が大きくなりますよね。

 

このように、重力(外部からの力)によって関節を回転させることを外部関節モーメントといいます。

 

 

反対に、膝関節伸展筋群(大腿四頭筋など)は重力に逆らって膝を伸展させようと働きます。

 

このように、抗重力作用を持つ筋によって関節を回転させることを内部関節モーメントといいます。

 

 

この写真のモーメントを関節ごとに整理してみましょう。

 

 

股関節

膝関節

足関節

床反力

前方

後方

前方

外部関節モーメント

屈曲

屈曲

背屈

内部関節モーメント

伸展

伸展

底屈

 

一般的に、文献や資料に書かれているモーメントは内部モーメント(筋の張力)のことが多いです。

 

そうでない場合もあるので、注意して内容を確認しながら読んでみてください。

 

 

次に、歩行時のIC(踵接地時)を矢状面で診た際の関節モーメントを考えてみましょう。

 

この写真(矢状面)の場合、床反力は股関節の前方、膝関節の後方、足関節の後方を通ります。

 

この場合の関節モーメントは、

 

股関節

膝関節

足関節

外部関節モーメント

屈曲

屈曲

底屈

内部関節モーメント

伸展

伸展

背屈

 

例えば、右sway-backで骨盤が後傾し身体重心が後方にあるとします。(右踏み出し脚

床反力がさらに股関節の前方を通過することとなり伸展モーメント(内部)が増大し、股関節の伸展筋群が左よりも大きく働くことになります。

 

その場合、右の膝伸展機構障害(オスグッド病など)を引き起こしやすくなります

 

膝伸展筋の痛みがあるからといって伸展筋ばかり緩めてしまうと、より膝前面のエキセントリック収縮が強くなってしまいます。

 

swayback姿勢とオスグッド病についてはこちら

 

 

次に、歩行時のMts(立脚中期)を前額面で診た際の関節モーメントを考えてみましょう。

 

この写真(前額面)の場合、床反力は股関節の内方、膝関節の内方、足関節の外方を通ります。

 

この場合の関節モーメントは、

 

股関節

膝関節

足関節

外部関節モーメント

内転

内反

内反

内部関節モーメント

外転

外反

外反

 

例えば、左の骨盤swayがあり上半身質量が右にあるとします。

上半身質量が右にあるため、さらに左の骨盤が外方に押し出され股関節外転モーメント(内部)が増大し、股関節外転筋群がより大きく働きます。

 

その場合、左の臀部の張り感の症状を訴える方が多くみられます。

 

左の臀部外側に痛みがあるからと言って外側ばかり緩めてしまうと、よりswayが大きくなってしまいます。

 

骨盤swayについてはこちら

歩行時の内転筋の機能についてはこちら

 

このように、関節モーメントや床反力から痛みを引き起こす症例も少なくありません。

 

同じ滑走不全から起こる痛みでも、同じように治療しても痛みの変化は少ないです。

どこの筋が伸張されていて、どこの筋が短縮しているのかをしっかりと見極めて

治療をしていく必要があると思います。

【これから姿勢の評価や動作分析をしていきたいと思っている方へ】

 

 

スポーツラボ鍼整骨院 滝ノ水

柔道整復師 石本楓華

 

サッカーとハンドボールの経験あり。

自身が現役時代に怪我をしたことをきっかけに、柔道整復師への道を目指した。

 

その経験を活かして、現在は治療やトレーニングに携わり

大学女子サッカー部のトレーナー活動を行っている。

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