腕振りと歩行
【大きく手を振りなさい】
そう言われて、必死に振った先生もいるのではないでしょうか。
速く走ることは、確かに腕振りも速く、大きくなるかもしれません。
別に間違いではないと思います。
今から話させていただく姿勢じゃないのなら。
このサイトでよく出てくるSway-back姿勢。
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この写真の方は前回もお話ししましたが、Sway-back姿勢で、骨盤の前傾を意識し始めたという状態の写真です。
今日見るのは、全体ではなく「上半身です」。
Sway-back姿勢の人は、歩行時腕を振るとどうなるのでしょうか?
まあ、普通に振ると思います。 本人は何も気にならないと思います。
でも僕たち、見る側は違います。
正常なアライメントの方と、Sway-back姿勢の方では全く違うはずなんです。
〈正常な胸郭〉
肩甲骨のポジションだけで話をします。
正常な脊柱と正常な胸郭があっての肩甲骨のポジションは、みなさんがイメージしている、
可動域にあふれ、自由に動かすことができる肩甲骨でいいと思います。
〈Sway-back姿勢の胸郭〉
Sway-back姿勢の肩甲骨は、正常なものよりもより外転位を強いられます。
言いたいのは、この状態と正常な状態で腕を振ると何が違ってくるのかです。
本来の腕振りは、後方にひかれていくときに肩甲骨の内転も伴ってくるはずです。
これが、Sway-back姿勢では内転できずに、上腕骨のみの伸展で腕を振ることになります。
これは過剰に、肩甲上腕関節を動かしているだけになり、肩甲骨と骨盤の連動と言われる前に進む推進力は得ることができません。
腕を振ることが悪いことではなくて、腕振りを伝える前に、そもそもの体を見抜けないと、間違ったことになるという事です。
もし、このSway-back姿勢のまま過剰に肩甲上腕関節での伸展が行われれば、肩関節の前方の組織は正常な状態よりも間違いなく
ストレスは受けることになります。
肩関節周囲炎の患者さんにもしそのような土台をみないで、ただ腕振りを指導したら、悪化するかもしれません。
学生に、腕振りをすることで速く走れると指導したら、姿勢はくずれ、力が入り、記録は伸びるどころか、他の部位を痛めることになるかもしれません。
歩行で腕が振れていないのは、振らないクセがあるからではなく、「振れない理由」が体にあるからかもしれませんね。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な筋力強化、そ こからアスリートのパフォーマンスアップまでを組み立てる力は、業界 でも群 を抜いている。
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛みを根本から 取りたい92歳まで、一人ひとりの目標に合わせ幅広く対応。動きの中 から痛 みの原因を探り、それを解決し、アスリートには動きの中からパフォーマンス アップに必要な問題点を改善する。その腕を信じ、県外からもクラ イアントが 多数訪れる。