治療の邪魔をする靴⑤(足部障害とランニングシューズの捉え方「フレア」)
前回は靴の「トゥースプリング」と歩行の関係についてお話しました。
前回の記事はこちら↓
治療の邪魔をする靴4(足部障害とランニングシューズの捉え方「トゥースプリング」)
今回は、靴の「フレア」についてお話していきます
まずフレアとは、、、ということですが。
フレアは、靴を後ろから見たときに、靴底の材料がハの字に膨らんでいる部分のことをいいます。
内側・外側に少し膨らんでいるものから、大きく膨らんでいるものまで様々です。
これをフレアが大きい、小さい、と表現します。
フレアが大きければ大きいほど足底が接地したときに安定感がでます。
これは、なんとなく想像していただけると思います。
フレアが小さくなればなるほど足底接地時の安定感が減ります。
究極にフレアをなくしたものが女性用のパンプスのピンヒールと言えるかもしれません。
さて、ピンヒールは別として、ランニングシューズにおいては、
スパイク・レーシングシューズ・ランニングシューズという順でフレアが大きくなります。
(ランニングシューズの分類については前回の記事をご覧ください↓)
治療の邪魔をする靴4(足部障害とランニングシューズの捉え方「トゥースプリング」)
ランニングシューズはフレアが大きいので安定感があります。しかし、その分、靴底の接地面積も大きくなるためスピードを出す時は不利になります。
本来、踵の形は靴底のように角はありません。丸くなだらかです。
ICの際になだらかな形をしている方がスムーズな転がりで次のフェイズに移行しやすくなります。
また、IC~Mstにおいて急激に足部が回内するパターンでは、大きく張り出したフレアから接地することで、
それが回内の動きを強くしてしまうかもしれません。
しかし、そうは言っても接地後荷重が大きくなったときに過度に回内する動きを内側の大きなフレアが止めてくれて安定するかもしれません。
さらに靴底の特徴で内側に倒れやすいもの、反対に内側の支えがしっかりとしているもの(例えばASICSのGT-2000というシリーズは内側の支えが強くMStで後足部が回内しやすい足部に対してはおすすめしやすいシューズです。私もよく患者さんにおすすめしています)、などそれぞれの靴に特徴があります。
それぞれの歩行様態に合わせ、どのフェイズを重視するかが大切になってくると思います。
ちなみに、サッカーのスパイクでは靴底のポイント(歯)の形でICから足部に大きく影響を及ぼすものもあります。ここでは商品名は言えませんが。。。
そんなときは、グラインダーでポイントを少し削ると変化が出ます。
さて、そんな靴底ですが。
今回は左右へ張り出した「フレア」のお話でした。
他にも、注意する部分に踵の高さ(靴底の厚さ)があります。
これを「ヒールピッチ」と呼びます。
次回は、このヒールピッチのお話をしていきますね。
松本実生(まつもとじつお)【鍼灸師】
株式会社アーチ代表取締役
足と靴のGAIT代表
日本で唯一、靴を作れる鍼灸師。
現在は、足の痛みに特化した靴・インソールの専門店「GAIT」
患者さんの痛みはどこから来ているのか?と疑問を抱いたときに、
患者の足部形態、歩行動作を分析し、その方に合った靴をピンポイ