足関節の背屈制限が骨盤の回旋を生み出す
【背屈制限をそのままにしていませんか?】
足関節の背屈制限。
臨床でよく耳にするフレーズだと思います。
「足首がかたい。」
これが歩行時にどんな影響があるのかを今日は話させていただきます。
仮に距腿関節の背屈制限の左右差があったとしたら、どうなるでしょうか?
背屈制限が強いほうが、歩行時のMSt後期からTStにかけてしっかりと下肢が伸展しにくくなるイメージはできるのではないでしょうか?
そうなると、そちらの下肢は屈曲相が優位となっていくでしょう。
下肢の屈曲相が優位となる場合、大殿筋などの機能がしっかりしていれば良いのですが、もしそうじゃないと
大腿四頭筋が優位となり、膝関節に対するストレスは強くなっていきます。
■こちらを先に読むと理解ができます↓
ということは、背屈制限による膝の痛みとつながるわけです。
もしこの膝を治したいと考えたときに、膝だけをずっと治療していてもそれは「再発」を遅らせているだけになります。
この時に、距腿関節の背屈制限にアプローチをするわけです。
そうすれば、下肢の伸展相が増え、逆側との関係がより均一に近くなっていきます。
この時の骨盤はどうなるでしょうか?
距腿関節の背屈制限が強い側の骨盤は、後方への回旋が不十分となります。
そうなると背屈制限側は前方に回旋するだけ。
ということは、歩行を診ればどちらが距腿関節の背屈制限があるのかを予測がつけられるという事です。
例えば、陸上の中・長距離選手の右膝の痛みの話をしましょう。
多くの選手が、トラックを走るように練習をするために、右の骨盤が前方回旋しています。
(もちろん反対の選手もいます。)
その理由は、外側になる足を内側よりも前に出さないといけないわけですから、どうしても左よりも右のほうが出てくるわけです。
そして、遠心力も働き、外側に荷重が乗っていきます。
外側に荷重がかかるこのパターンの多くは、ST関節は回外方向へ行きやすくなり、そこから下腿はSTと連動して外旋します。
■ST関節の回外を理解したい方はこちらをぜひ↓
この観点からも距腿関節は背屈しにくい状態が生まれます。
先ほども話したように、右の下肢は伸展相よりも屈曲相が多くなるわけですから、大腿四頭筋の負荷は増え、膝の痛みとつながりやすいわけです。
この場合に背屈制限を変えることをやってみると、下肢の伸展相が出はじめ骨盤の後方への回旋が出てくるため、骨盤の回旋差が無くなっていきます。
結局トラックでの練習を続ければ同じでしょ?と言われそうですが、ここに上半身の重心を左に移動しやすいようにするなどの、ほかのアプローチを考えれば、右の骨盤ばかりが前方に出てくることは無くすことが可能です。
上半身の重心の話はこちら↓
すこしややこしい話かもしれませんが、骨盤の動きと距腿関節の背屈制限はつながっていることがわかっていただければと思います。
ちなみに、歩行もランニングも「骨盤の回旋に対して、胸郭の回旋は逆になる」でしたから、例えば右腕が後方ばかりに引いて歩いている、もしくはランニングしている人がいれば、それだけで右の距腿関節は背屈制限があるかも・・・と考えることも可能だと思います。
■腕振りについてはこちら↓
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛