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歩行時の足部

足関節背屈制限を例に支持モーメントを考える

 

この記事をご覧の先生方は日々の治療の中で歩行分析を行っている方が多いかと思います。

 

今回は歩行において、床を押す力としての支持モーメントという観点で

足関節背屈制限を有する場合を例にお話させていただきます。

 

*関節モーメントの考え方が詳しく分かる記事はこちらこちらです。

 

まず初めに支持モーメントとは、 

荷重位での

  • 内部股関節伸展モーメント
  • 内部膝関節伸展モーメント
  • 内部足関節底屈モーメント

の総和です。

 

         Tsutomu Fukui et al: Ankle, knee, and hip joint contribution to body support during gait. J Phys Ther Sci 28:2834-2837.2016 より引用

 

上の図では太い黒線支持モーメントです。

*この図は立脚相を100%として表示しています。

 

この支持モーメントとは歩行に重要な「床を押す力」であり、

3つのモーメントの総和であります。

  

 

自身の身体を前へ進めることが歩行であり、その方法は主に股関節・膝関節・足関節で床を押すことで可能となります。

イメージしやすいように簡単に考えると、その人が歩行に必要な床を押す力を100とするとその3関節で手分けして100の力を生み出していると考える訳です。

 

 

実際に

‣立脚期で、股関節伸展筋である臀筋の出力が低下すると、

膝関節伸展筋である大腿四頭筋の出力が増える (Fukui ,2016)

‣IC直後以外では足関節伸展筋の下腿三頭筋出力が増大すると、

膝関節伸展筋である大腿四頭筋の出力は低下する  (Fukui ,2016)

とされています。

 

この床を押すという力がそれぞれの周期に適切に働くことで正常な歩行は遂行されます。

 

IC(イニシャルコンタクト)では内部股関節伸展モーメントが働いており、

ランチョロスアミーゴ IC(イニシャルコンタクト)

 

 

 

 

 

 

 

LR(ローディングレスポンス)~TSt(ターミナルスタンス)にかけて

ランチョロスアミーゴ MSt(ミッドスタンス)ランチョロスアミーゴ TSt(ターミナルスタンス)

 

 

 

 

 

 

内部足関節底屈モーメントが強く働いております。

 


*歩行周期の解説は以下の記事をご覧ください。

ICについてはこちら

LRについてはこちら

MStについてはこちら①こちら②

TStについてはこちら


 

 

しかし、何かしらのアライメント不良があり、

その周期に上手くモーメントが働かなければ

過剰にモーメントが働いてしまう関節が出てきてしまい、

その積み重ねの結果、痛みとして出現してしまうことが考えられます。

 


 

では足関節の背屈制限を伴う膝前面痛の方について、支持モーメントという観点から考察していきます。

日常生活での痛みはなく、バスケットボールなどのスポーツや持久走など長距離を走った際に、

両方の膝・大腿前面がパンパンに張って痛みが出てきてしまいます。

 

その方の歩行は通常歩行と比較すると、

LR~MStでの足関節の背屈が入らないため、

ヒールオフが早く、前方への十分な蹴りだしが行えていません。

A: D.A.Neumann 著 筋骨格系のキネシオロジー  医歯薬出版株式会社 2018 P751 より引用

 

通常、背屈可動域が出ることで前足部の上へ身体重心がのり、

底屈筋の出力により前方への蹴りだしを行うことができます。

 

A: D.A.Neumann 著 筋骨格系のキネシオロジー  医歯薬出版株式会社 2018 P743 より引用

 

さらに、IC前の背屈時に足関節底屈筋群が伸張されることでたまったエネルギーが放出され、

足関節底屈による蹴り出しがなされますが、その背屈可動域もうまく獲得できていません。

 

 A: D.A.Neumann 著 筋骨格系のキネシオロジー  医歯薬出版株式会社 2018 P724より引用 

 

以上のことを踏まえて、支持モーメントを考えると、

内部足関節底屈モーメント減少に対して、

内部膝関節伸展モーメント増大して補うことが考えられます。

Tsutomu Fukui et al: Ankle, knee, and hip joint contribution to body support during gait. J Phys Ther Sci 28:2834-2837.2016 より引用

 

 

足関節の背屈制限を考慮すると、

歩行中に股関節の伸展が出る前にヒールオフが出てしまい、膝関節の屈曲が早くなります。

 

そうなってしまうと、内部膝関節伸展モーメントが強くなり、

Sway back postureのような後方重心で歩行が行われるでしょう。

 

 

この足関節背屈制限の方は、結果的に

後方重心での動きが多くなり、膝伸展筋(大腿前面筋)の遠心性制御がなされてしまうため、

膝・大腿前面の痛みに繋がってしまったのだと考えます。

つまり、この方の場合、背屈制限を解消し、底屈筋出力を改善させることにより、

間接的に膝伸展筋出力の抑制が図られ、改善するのではないか?というアプローチの方向性・ヒントが浮かんでくる訳です。

 

 

このように支持モーメントという観点で考え、歩行分析や動作分析を行うことで、

今まで見えてこなかった治療の考え方ができるかもしれません。

 

様々な角度から考えることによって、より多くの方を救える治療家になりましょう!

 

 

株式会社アーチ

アーチ鍼灸整骨院

【柔道整復師】坂本裕哉

 

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