距骨下関節とWindlass機構
距骨下関節とWindlass(ウィンドラス)機構についてお話したいと思います。
別の記事(距骨下関節とショパール関節)では、距骨下関節が回外位の時、足部は強固な状態になり、回内位では足部は可動性があり柔軟な状態になる、ということを踵立方関節・距舟関節と関連づけてお話しました。
ご存知のとおり、地面を蹴りだす時には距骨下関節の回外がとても大切になります。
今回は、Windlass機構というまた別の角度から考えていきたいと思います。
ところで先生は、Windlass(ウィンドラス)機構を聞いたことはありますか?
先にこの話をしましょう。
MSt時、荷重が足の裏全体にかかり、足部の骨が地面の方に崩れ落ちるような、つぶれる力がかかります。この時、足底筋膜は一番底辺で引っ張り耐えようとします。
これをトラス機構と言います。
橋などの建築物や自転車等のフレームはトラス構造と呼ばれるつくりになっていて、足部もそれらをイメージしたらいいかもしれません。
このトラス機構により、荷重を支えます。
MStの後、TSt、PSwに向かい、地面を蹴るためにMP関節が伸展していきますが、引っ張られた足底筋膜は、この時にもうこれ以上は伸びない、という状態ですので、引っ張られている距離を短くしようとします。距離を短くするには、先ほどの落ちてくる骨たちを持ち上げて二等辺三角形を、正三角形のようにするしかありません。これをWindlass機構、別名“巻き上げ機構”といいます。
(足底筋膜が延ばされたゴムで、そのゴムが戻ろうとするときに、足は地面を蹴る瞬間が来ると思っていただければいいと思います。)
左図:トラス機構 足底筋膜は引っ張られる
右図:Windlass機構 距離が短くなる
Windlass機構で、足底筋膜が縮むのはお分かりいただけたかと思います。
さて、これを踏まえ本題に戻りましょう。
距骨下関節とWindlass機構についてでした。
足底筋膜は、踵骨の踵骨隆起内側から始まります。足底の内側です。
そして、足底筋膜の停止はMP関節もしくは足趾です。
TSt時、MP関節と足趾は地面に接し固定された状態になります。ここで、固定されたMP関節・足指が起始で、踵骨隆起内側が停止と置き換えて考えてみましょう。
では、MP関節から始まる筋肉が、踵骨隆起内側をMP関節の方へ引いたら、距骨下関節の動きはどうなるでしょう?
そうです、距骨下関節は回外しかしません。足部の各関節の機能上この方向になります。
図:固定されたMP関節・足趾と引かれる踵骨隆起

TSt時、距骨下関節が回外する理由は、Windlass機構による足底筋膜の牽引が大きな要因の一つになるからなんです。お分かりいただけたでしょうか?
さらに、距骨下関節とショパール関節の記事でお話した内容と組み合わせると、、、
距骨下関節回外なので、立方骨は回内位、それによる距舟関節軸、踵立方関節軸は交差し、足部はロックします。これにより力はしっかり伝わり、地面を蹴れるというわけです。
とりあえず、押さえておきたい距骨下関節とWindlass機構のお話でした。
治療のヒントがたくさん隠れていますね。
髙木慎一(たかぎしんいち)【柔道整復師】
Athlete Village浜松代表
アライメント・姿勢・歩行動作を総合的に分析し、その方に必要な
クライアントはパフォーマンスを上げたい小学2年生から、膝の痛