足関節背屈制限を矢状面から診る
【足関節背屈制限を矢状面から診る】
歩行分析で大切なのは、
いかに進行方向(矢状面)へスムーズに進んでいるかをみる力です。
この記事を読んで頂いている先生も歩行分析を治療に取り入れていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?
歩きを前や後の前額面で評価される事が多いかと思いますが、
実は矢状面からの歩行分析もとても重要になってきます。
痛みが出ている場合の歩行というのは、
正常な歩行に比べてどこかでエラーが生じている状態。
そのエラーが出ている場所を見つけ出しアプローチすることで痛みをなくすことができます。
前額面→矢状面に影響を及ぼしている場合もあれば、
矢状面→前額面に影響しスムーズな歩行を阻害している場合もあります。
静止した状態のアライメントから歩きを予想し評価、
前額面・矢状面を含めた歩行を診ることでアプローチするべき場所を見つけられるということです。
今回は、その中でも足関節の背屈制限が矢状面上の歩行に与える影響について説明をしていきたいと思います。
〈床反力と関節モーメントの考え方はこちら〉
https://arch-seminar.com/posturalanalysis/床反力による関節モーメントの考え方/
IC(イニシャルコンタクト)

右脚の踵接地のタイミングです。
この場合、正常の歩行では、
床反力は足関節の後方を通り
外部足関節底屈モーメントに対して、内部足関節背屈モーメント(前脛骨筋)が働くことになります。
Sway Back姿勢で過度な後方重心位の場合、外部足関節底屈モーメントに対して
内部足関節背屈モーメント(前脛骨筋)が過剰に作用することになり、
下腿筋膜と前脛骨筋間の滑走不全による前方のトラブルの結果、背屈可動域が制限(前方が詰まって背屈しにくい)が生じることがあります。
この場合、足関節だけのアプローチだけでは治療後の変化は出ても、
日常生活で同じ姿勢で歩きを繰り返すことにより背屈制限は戻ってしまいます。
〈その他のICでの背屈制限因子はこちら〉
https://arch-seminar.com/posturalanalysis/足関節背屈制限はどうやって作られるのか?%E3%80%80床/
LR(ローディングレスポンス)

足底が全てつくタイミングです
膝関節の後方を床反力が通るため、外部膝関節屈曲モーメントに対して、内部膝関節伸展モーメント(大腿四頭筋)が働きます。注意しておきたいのは、膝の過度な屈曲・または過伸展動作です。

足関節の背屈制限がある場合、早期に膝の屈曲が入ることによる、膝の過度な屈曲(早期のheel off・底屈位を伴う、腓腹筋ではなくヒラメ筋優位)または膝を後ろに反らせて歩く反張膝が起こる場合もあります。
MSt(ミッドスタンス)

片足立ちになるタイミングです
足部が固定された状態で下腿は、徐々に前傾し床反力は足関節の前方を通り
外部足関節背屈モーメントに対して、内部足関節底屈モーメント(下腿三頭筋)が働きます。
Sway Back姿勢などで上半身が後方にある場合、
スムーズな体重移動が阻害され、床反力は、足関節の後方にある時間が長くなります。
それにより、内部足関節底屈モーメント(下腿三頭筋)が働き背屈制限の要因にもなります。
〈このタイミングで背屈に必要な足部の運動連鎖はこちら〉
ここで、下腿の前傾に伴って、足関節背屈制限がある場合は、早期のヒールオフによる股関節伸展制限や足部のアライメント不良を引き起こします。
TSt(ターミナルスタンス)

ヒールオフが早ければ、その分反対側へ急激に重心が移動していくわけですから、
予期せぬタイミングで荷重がかかり反対側の痛みの原因がここで作られている可能性もあるということです。
前額面でおこる上半身質量の急激な変位が、矢状面で歩行を観察することにより、背屈制限からアプローチすることもできるということです。
〈こちらも合わせてお読みください!〉
https://arch-seminar.com/gaitanalysis/歩行時の足部/足関節背屈制限を例に支持モーメントを考える/
PSw(プレスイング)

最後の蹴り出しのタイミングでは、どこで蹴り出しているかに注目してください。
正常な歩行では、踵から接地し母趾の先に体重が移動し蹴り出しが行われます。
ここで背屈制限が起こっていると蹴り出しが外側や2趾になり、足趾の痛みや外反母趾などのトラブルが発生します。
〈歩行の各相をさらに詳しく見るにはこちら〉
https://arch-seminar.com/vocabulary/
このように矢状面からも歩行分析を行うことで、痛みの原因も見つけやすくなるかと思います。治療後は良いが、痛みが戻ってきてしまう場合は、根本的に見落としている場所が必ずあるはずです。
先生方の診られている患者さんが更に良くなるヒントがあれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
株式会社アーチ
磐田市千手堂 アシスト鍼灸整骨院
柔道整復師、アスレティックトレーナー

脇田聖(わきた ひじり)
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